犬がナツメグを食べたらダメ!犬の食事をペットフーディストが解説
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ナツメグは犬に与えてはいけない食材です。ナツメグといえば、ハンバーグの材料として思い浮かぶ飼い主の方も多いのではないでしょうか。犬にハンバーガーを与えることもナツメグが含有している可能性を考えると注意が必要です。また薬膳の食材である「なつめ」にも名称が似ていますが、全くの別物です。この記事では、ナツメグについて詳しく説明していきます。
ナツメグに含まれるミリスチシン
ナツメグは、ニクズク(肉豆蒄)と呼ばれる濃い色の常緑樹の種子を粉末にしたスパイスです。この種子の油には、ミリスチシンという毒性物質が含まれており向精神作用をもたらします。犬にとっては少量でも摂取すると、胃の不調をきたす恐れもあり危険です。肉の臭みをとる際にスパイスとして用いられることが多いナツメグ。肉の加工品を犬に分け与えたことで、ナツメグを含む食品を食べさせてしまったということがないよう気を付けてあげてください。体の小さい小型犬には特に注意が必要です。
犬がナツメグを食べてしまったときに出る症状
犬がナツメグを食べてしまった場合、次の症状が出る可能性があります。
ナツメグは人間にとっては幻覚誘発剤として使用されてきました。神経系統を混乱させる恐れがあります。
- ✔︎ 幻覚
- ✔︎ 心拍数の上昇
- ✔︎ 高血圧
- ✔︎ 腹痛
- ✔︎ 発作
- ✔︎ 口渇
- ✔︎ 見当識障害(犬がどこにいるのか、目の前の人が誰なのか分からなくなる症状)
これらの症状は、ナツメグを多量または継続的に摂取した場合に引き起こす可能性があるとされています。3〜8時間後に症状が表れ、最大48時間続くというデータがあります。
とはいえ、愛犬のその日の体調によって症状が出ることも出ないこともあり得ます。ナツメグが添加された食品を食べてしまったと気付いた際には、すみやかに動物病院へ相談して様子を見ていく必要があるでしょう。
どのくらいの量で中毒症状になるか
犬がどのくらいの量のナツメグを摂取すると中毒を引き起こすか、毒性閾値(しきいち)は次のとおりです。人間の場合は10〜15グラム、ナツメグの種子3粒に相当します。犬の場合、人間の毒性閾値のわずか半分、5グラムです。ゆえに、私たちが食べても大丈夫だからといって、犬に与えると危険をもたらす可能性があるので気を付けましょう。
ナツメグが含まれる加工品とは?
ナツメグはハンバーグ以外、どういった食品に含まれるでしょうか?
以下は、ナツメグが含まれている可能性があるうえ、どれもスーパーでよく見かける商品です。
- ハム・ソーセージなどの食肉加工品
- 焼き菓子
- シロップ
- 飲料
- ソース各種
- 化粧品の香料
犬にひと口あげようと考えたとき、ナツメグが含まれていないかを判断する参考にしてください。食品だけでなく、化粧品にも含まれることがあります。犬の手に届かない場所へ保管するようにしてください。
“なつめ”とは別物なので要注意!
「ナツメグ」と「なつめ」は似た名前ゆえに、間違われることがよくありますが、「なつめ」とは全くの別物です。なつめは、薬膳食材として犬にとって健康的な食品です。ナツメグと混同しないようご注意ください。
さいごに
ナツメグは、人間にとっては甘いお菓子の天然香料として成分表で目にすることも多い材料です。甘い料理にも辛い料理にも使われるスパイスとして重宝しますが、犬にとっては危険な食材。粉末に限らず、エッセンシャルオイルでも有毒です。この記事をきっかけに、ナツメグを含む製品や食品の保管場所を見直し、管理には十分に注意してくださいね。
INUMAGでは読者の皆様へ、大切な愛犬が健康で幸せな食生活を送れるような記事をこれからもお届けしていきます。知りたい食材のリクエストやご感想もお待ちしております。
今崎 湘子 | ペットフーディスト
2021年2月ペットフーディストの資格を取得。幼少期より大の犬好きで、現在はペットフーディストとして犬の栄養管理のアドバイスやペットライターとして活躍中。「犬も人も共に楽しくずっと一緒に」をモットーに、元保護犬トイプードルを家族として迎え入れ、2人の娘と犬のやりとりに癒やされる毎日です。