【INUMAG Writer’s コラム】動物ライター湘子の愛犬たちとの歩み

【INUMAG Writer’s コラム】動物ライター湘子の愛犬たちとの歩み

  • コラム

はじめまして。動物ライターの今崎湘子と申します。INUMAGではこれまでペットフーディストとして、「犬が食べてもいい食材シリーズ」や「犬の体にいい食材シリーズ」を担当してきました。普段は愛犬トイプードルの毎日の食事を一緒に楽しめるようなメニューを考えたり、犬友仲間の飼い主からの栄養相談に乗ったりしています。

このたび、新たなシリーズとして連載コラムをスタートすることとなりました。このシリーズでは、これまでの食材記事における栄養に関する内容にとどまらず、より実践的な内容やひとりの飼い主として動物たちの健康で幸せな生活について執筆していけたらと考えています。記念すべき第一回は、ペットフーディストになるまでの経緯やあらためて自己紹介をさせてもらいます。

はじめての犬との出会い

私が人生ではじめて出会った犬は柴犬に似たオスの雑種犬です。幼稚園の友達が飼っている犬が出産をすると聞いて、「犬を飼いたい!」と親にせがみ、5歳のときに飼い始めました。幼稚園から大学4年の就職活動に至るまでずっと一緒に過ごした犬は、私にとって4歳離れた姉以上に心の通った何でも話せる兄妹のような存在でした。当時、住んでいた市から表彰されるほど17年の長寿犬でしたが、まだ野良犬のいる時代、家出が好きな元気な犬だったのでよく探し回ったことも覚えています。

幼少の頃から青年期まで、この犬との交流があって、無償の愛や人を思いやる気持ち、裏切らない心、誠実さなど、本来、人との関わりで忘れてはならない大切なことを学び、助けられてきたと感じています。しかし、犬たちは言葉を話せず、家族や友達を選ぶこともできません。このことから、私はライターとして、彼らの代わりに飼い主の方々へ犬たちにとって大切な知識や選択、ともに幸せに暮らすための情報共有などを発信していけたらと考えています。

パピーウォーカーでの経験

これまでの人生を通して、私は5頭の犬に出会ってきました。どの愛犬からもさまざまな学びがありましたが、このコラムでは、食事はもちろんのこと生活についても紹介していきたいと思っています。今回、紹介したいのは、ペットフーディストになるきっかけのひとつだった胃腸の弱いゴールデン・レトリーバーからの経験です。

数年前に盲導犬パピーウォーカーといって、盲導犬候補の子犬を生後2カ月から1歳まで育てるボランティアを引き受けていました。わが家にきた子犬は、とても胃腸の弱い子で頻繁に下痢を繰り返していました。犬にも体質があると思い知った経験です。以前、飼っていたラブラードール・レトリバー犬は、ガッツリと勢いよく何でも食べる子でしたが、引き受けたパピーはまったく違って上品で繊細なゴールデン・レトリバーの女の子でした。毎回、完食が難しく、一緒に食器の中のフードを指でつつきながら、競争心を刺激して食べさせる毎日でした。

幾度となく繰り返す下痢。そのたびに獣医師に相談したり、便を持参して検査してもらったりして経過観察。便に異常はなく、やがて胃腸によいサプリメントを定期的に購入しないかという提案を受けます。ずっと飼う愛犬なら、そのまま獣医師を信じて、長期間のサプリメントを愛用する生活になっていたかもしれません。しかしながら、パピーウォーカーである私は、いずれ訓練所に返すこの子は、どんな飼い主といてもサプリメントを飲まなくても生活できる元気な子でいてほしいという想いにかられます。

協会に関わっている獣医師に相談した結果、ドッグフードを消化器サポートという療法食に変更する選択肢があることを知りました。このとき、犬たちは出会う獣医師や飼い主によって、生活の質が大きく変わることに気付いたのです。愛犬のQOLや健康寿命は飼い主の選択によって大きく変わると言っても過言ではありません。そして、訓練所に戻る頃、1歳になったその子は、療法食でない一般的なドッグフードを食べられるように成長してくれました。

この経験から、飼い主として学んで選択する責任の重さを改めて意識するようになりました。

ペットフーディストの資格取得へ

パピーウォーカーの任務を無事に終え、コロナ禍でも在宅でできる仕事を探しはじめた2020年。縁あってWebライターの人生がスタートします。

初めて採用された記事は「ペット自慢」でした。愛犬のかわいい芸の披露や犬種説明など楽しく記事を書いたことが今でも大切な思い出です。そんな中、もっと犬のために記事を書いて飼い主へ伝えていきたいと感じ、そのためには専門的な知識を習得すべきとあらゆる資格からどれを取得するか検討しました。先に述べた犬による体質の違いを知ったことや家族の闘病をきっかけに学んだ国際食育薬膳師の資格を併せて記事にしたいと考え、より栄養的な学びを深められるペットフーディストの資格を選択しました。

ペットフーディストとは?

そもそも、ペットフーディストとはどんな資格なのか?まだ多くの人に知られていないのではないでしょうか。ペットフーディストという職業について説明します。

ペットフーディストとは「食事を通して、飼い主と犬にともに暮らす”喜び・健康・笑顔”を届ける人」と定義されています。食事や食事タイムは、単なる栄養補給だけが目的ではありません。飼い主からの愛情表現のひとつであり、犬にとって飼い主とともに過ごせる幸せな時間となります。そして、不適切な食事は健康を害する恐れがありますが、病気自体は食事以外のあらゆる因子をもっています。つまり、食事で治療は出来なくとも、食べるもので治療のサポートは可能ということ。これらを前提として、ペットフーディストは栄養指導やペットフードを選ぶだけではなく、飼い主と犬に寄り添って食事の悩みを解決し、食事を通して犬との生活を豊かなものにする役割を担っています。

十人十色ならぬ十頭十食?!

ペットフーディストとしてアドバイスする際に特に注意していることがあります。それは獣医師との連携です。病気を診察し、治療方針を判断するのはかかりつけの獣医師です。ペットフーディストは、犬の自然治癒力を高める食事の提案はできますが、既に治療中の場合には、あらかじめ獣医師に確認をとってもらうことを大前提としています。

他にも気を付けていることは、犬も自分の子どもたちと同じように、まず私たちが食べられるものか、安全性を確認したうえで薦めるようにしています。そして、犬も住んでいる環境の違いや生まれ持った遺伝的な体質の違いなども考慮して、飼い主が適切な判断ができるよう、情報提供を心がけています。

また、薬膳のベースである中医学では季節や体質に合わせて食材を選びます。季節に合った旬の食材の影響を伝えたり、知識だけに頼って栄養が偏ったりすることがないようアドバイスに注意を払っています。

“すき、だから学ぶ”。愛玩動物飼養管理とは?

すき、だから学ぶ”。これは、INUMAGが昨年6月にサイトリリースされたときに初めて公開されたメッセージです。
✔︎ INUMAGについて → https://inumag.jp/about

私たち飼い主はすべての犬が幸せであってほしいと願っています。私も1人の飼い主であり、ライターである立場から、このページを通して、無知を知って学んで発信することの大切さについて改めて考えさせられました。

私たち人間と犬たちがともに幸せを感じられる共生社会に少しでも近づけられるよう、新たに勉強を始めたのが「愛玩動物飼養管理士」でした。

資格を取得してから気付いたのは、動物たちの幸せのために知識を広めることは不幸な犬をこれ以上増やさないことにもつながるということ。幸せな犬の人生は、犬たち本人では決められなくて、私たち人間社会の選択に委ねられています。

「一頭でも多くの犬たちがニッポンに生まれてきて良かったと感じ、人間を好きでいてほしい」そんな考えを持つようになって、犬たちの命を守る活動にも貢献したく、ペットフーディストの知識だけでなく、動物福祉についても触れていきたいと思います。

現在、「日本の動物福祉を世界トップレベルに」とビジョンを掲げ、動物福祉活動をがんばる団体と支援したい人をつなぐ公益社団法人アニマル・ドネーションでの活動にも参加しています。動物福祉活動を通して得た知識からも、飼い主にとって有意義な情報と感じたものをシェアしていけたらと思います。

※公益社団法人アニマル・ドネーション動物関連団体と寄付者をつなぐオンライン寄付サイトを運営する中間支援組織

さいごに

今回は私の自己紹介として、これまで取得してきた資格についてまとめてお伝えしました。ペットフーディストとして、これからも飼い主に寄り添った犬への食事の大切さや犬との共生社会について伝えていきたいと思います。犬は群れをなす動物ゆえ、孤食よりも飼い主と一緒に食べられることに大きな幸せを感じているはずです。実際の愛犬との食生活や環境についてもお伝えしていきますので、次回も楽しみにしていてくださいね。

INUMAGでは、愛犬と飼い主がいつまでも健康的な毎日を末永く一緒に送れるよう願っています。

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  • Writer:今崎 湘子
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