【INUMAG Writer’s コラム】ボンジュール!フランス犬だより

【INUMAG Writer’s コラム】ボンジュール!フランス犬だより

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INUMAG読者のみなさん、はじめまして!フランス在住INUMAGライターのMarikoです。ふだんINUMAGでは、特集記事やレポート記事を中心に執筆しています。中でも、昨年書いた『人気の犬の絵本7冊』は、犬だけでなく子どもも大好きな私にとって思い入れの深い記事です。

私が日本からフランスに移ったのは約1年前。フランス人の夫とともに渡仏、昨年秋にはこちらで第一子を出産し、現在家族3人でフランス暮らしを送っています。日々、この国に生きる犬たちの暮らしや、犬と共生する人々の考え方や思い、フランス社会の中で犬がどんな存在として息づいているのかなど、日本とのさまざまな違いを目にします。

こちらで気がついたおもしろ犬情報は「ひとりで抱えているのはもったいない!」と、ちょくちょく日本のINUMAG編集部のみなさんと共有してきたのですが、お互い、次第に「これは犬好きなINUMAG読者のみなさんにもお伝えしたいね」と感じるように。

そこで今回から、コラム『ボンジュール!フランス犬だより』として、ここフランスの犬事情についてつづらせていただくことになりました。とはいえ、みなさんにとって私は「あなただぁれ?」という感じですよね。第一回目の今回は、私自身のこれまでの犬との関わりについて、少しだけご紹介させてください。

フランス「バラ色の街」から、INUMAGを通じ犬や日本に思いをはせる

「フランス暮らし」と聞くと、多くの方が「花の都パリ」を思い浮かべるかもしれませんが、私が暮らすのはフランス南西のトゥールーズという街です。パリからは飛行機で1時間ほど南に下った場所にあり、フランス第4の規模を誇る比較的大きい都市です。スペインにもほど近く、街の人々はラテン気質が入り混じり陽気でフレンドリー。赤レンガの建築物が街を埋め尽くすトゥールーズは、その色から「バラ色の街」という美しい異名で呼ばれます。

私がこちらへ移ってきたのは、2021年春のこと。10年間暮らした東京を離れ、フランス人の夫の地元へ引っ越すことになりました。その半年後にはこちらで第一子を出産するなどばたばたと変化の多い一年でしたが、そんな中、ご縁がありフランスからINUMAGの記事を書かせていただくようになりました。

執筆しながら、遠くなってしまった母国日本や、日本に生きるワンちゃんたちに思いをはせています。同時に、犬に関わるさまざまな人々の思いを言葉につづることで、改めて犬と共生することの意味を考える時間が増え、フランスに生きる犬たちへのまなざしにも変化を感じています。

フランスでは住居によるペット飼育規制はないものの、残念ながら私たち自身がまだ犬をお迎えできる状況になく、今はご近所のワンちゃんや友人の愛犬で「犬とのふれあい欲」を満たしています。いつの日か、お庭のあるおうちでワンちゃんを飼うのが現在のささやかな夢です。

「犬は飼うもの」から「ともに生きる存在」へ変わったイギリス暮らし

現在はフランス暮らしをしている私ですが、初めての海外生活は、10年以上前に単身で渡ったイギリスでの2年間でした。ロンドンで過ごしたその時間は、私の「犬との暮らしへの価値観」を大きく変えてくれるものになりました。

犬が身近な存在ではあったものの

山梨県に生まれ、大学へ進学するまでは地元の小さな田舎町で育ちました。実家では2代にわたり犬を飼うなど幼いころから犬は身近な存在ではあったものの、昔気質な祖父母と暮らしていたこともあり、犬は「ともに生きる家族」というよりは、あくまで「飼うもの」という認識が強くありました。室内に犬を入れることは許されず、つねに外飼い。今となっては「なんて古い考え方なんだろう!」と思うのですが、だからこそ大人になった今、「犬との暮らしについて正しい知識を得る」ことの大切さを感じています。

そんな祖父母ゆずりの古い価値観を大きく変えてくれたのは、大学卒業後、ワーキングホリデーで渡ったイギリスでの2年間でした。貯金はない、英語もままならない初めての厳しい海外生活でしたが、そんな中で人生の大切なことを数多く学びました。そのひとつとして、ペット、特に「犬との暮らし方」があったのです。

ロンドンで見た、犬がとけこむ社会と暮らし

イギリスといえば、生体販売への厳しい規制や動物虐待への厳罰など、ペットや動物を守る法整備が進んだ動物愛護先進国として知られていますよね。

初めてロンドンの街を歩いたとき、飼い主のとなりをリードなしで伸び伸び歩く犬たちの姿や、電車やバスにケージなしで乗車している犬たち、また入店規制を気にすることなくカフェやパブのテラス席でくつろぐ犬たちの姿を目の当たりにし、衝撃を受けたことを覚えています。

イギリスでは学生や単身者、カップルなどはシェアハウスに住むことが一般的なのですが、そうした住居でもペットを飼う人の存在は珍しくありません。私が暮らした家でも、犬や猫を飼うハウスメイトがいたことがあり、リビングや庭などの共用スペースでは、よく動物たちとともに時間を過ごしました。

もちろん、飼い主のしつけへの責任を前提とした上での話ですが、ロンドンの街やイギリス社会がごくあたり前に犬の存在を受容する。その実態は、多くの人々が動物がいる暮らしを自然と受け入れていることに始まるのだなと、日常生活の中でひしひしと感じました。

イギリスで得た価値観をベースに過ごした、東京での時間

犬たちの満たされた表情や、飼い主との強い信頼関係、それでいて犬を犬として扱い尊重する姿勢が社会全体に根付いていること。イギリスでそんな人と犬の関係をまじまじと見たことで、私の「犬と暮らす」ことへの価値観は180度変わりました。

その後、日本に戻り上京。東京でも犬を飼う友人と暮らしていたこともあり、イギリスでの経験をベースに、日本で改めて「犬と暮らす」時間がもてたことは私にとって幸せなことでした。東京という大都会でも、「犬と過ごせる場所は意外に多いんだ」と多くの発見があったと同時に、日本のペット産業の問題点にも目がいくようになり、飼い主目線での暮らしを経験できました。

歴史ある街並みに見る犬たちの姿

これはフランスに限らずヨーロッパの国々に共通して言えることですが、築100年を越える建物がずらりと並ぶ古い街並みには、いつも活き活きと闊歩する犬たちの姿があります。リードなしでお店で過ごす看板犬たち、カフェやバーのテラスでくつろぐ犬たち、木陰や公園、教会の庭を元気にかけ回る犬たち。中世の城塞都市として世界遺産に登録されるフランスの「カルカッソンヌ」という町を訪れた際も、世界遺産の都市空間の中に息づく犬たちの暮らしを垣間見ました。

イギリスでの2年間の経験がありつつも、東京での暮らしを経て改めて海外暮らしを始めたことで、国による犬事情の違いを実感する場面は数多くあります。
そのようなこれまでの経験や今後重ねていくフランスでの経験を踏まえ、私視点での犬事情をお伝えしていけたらなと思います。

さいごに

さて、今回はコラム『ボンジュール!フランス犬だより』の第一回目として、筆者である私自身の犬との関わりについて紹介させていただきました。今後は、「フランスで犬を飼うには?」「トリミング事情は?」「ドッグパークやドッグカフェはあるの?」など、フランスの犬の飼育事情についてさまざまな角度から、読者のみなさんに「あのね」とお話するような感覚でコラムをつづっていければと思います。読んでいただく中で、「こんなことが知りたい!」「これはどうなっているの?」などリクエストがあればぜひ教えてくださいね。どうぞよろしくお願いいたします!

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  • Writer:Mariko Dedap
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