【ボンジュール!フランス犬だより】フランス犬事情!人気犬種や犬の暮らし、問題点まで
- コラム
INUMAG読者のみなさん、こんにちは!フランス在住INUMAGライターのMarikoです。フランスの犬事情などについてお伝えするコラム、「ボンジュール!フランス犬だより」。第2回目の今回は、フランスで飼育される犬たちの様子について、暮らし方や人気の犬種など、さまざまな面からお話していきたいと思います。
目次
フランスで人気の犬種とは?
フランスは、人口の約半数が犬や猫、鳥、魚など何かしらのペットを飼育しているというデータ(※1)もあるほど、動物とともに生きることを愛する国です。犬においては、約5世帯に1世帯の割合で飼育されています。その数字が示すとおり、街を歩けばどこでも必ず犬たちの姿を目にします。それではそんなフランスで、愛犬家たちの人気を集めるのはどのような犬種なのでしょうか。
こちらでよく見かけるのは、中型から大型サイズのワンちゃんたち。中でも特に人気を集めるのはシェパード系犬種です。フランスケンネルクラブ(Société Centrale Canine)によると、2021年に最も登録数が多かった犬種はオーストラリアンシェパード、2位はゴールデンレトリバー、3位はベルジアンシェパード、この他にもジャーマンシェパードやブルテリアなどが人気犬種としてランクインしています。(※2)
第1位のオーストラリアンシェパードは、「同じ犬種でもさまざまな瞳の色、毛色があり個性的」「賢い」などといった理由から、長年フランスで高い人気を誇っています。
一方、小型犬で比較的よく目にするのはキャバリエやヨークシャーテリアです。このほか、昨今では柴犬をはじめとする日本犬を飼う人も珍しくありません。フランスの地で日本犬を見かけると、つい話しかけてしまいたくなるような親しみを感じるものです。
※1 FACCOによるフランスのペット飼育率調査
※2 フランスケンネルクラブによる2021年の犬種登録数ランキング
街を、自然を、のびのびと生きる犬たちの姿
さて、ここからはフランスに暮らす犬たちの住環境やお散歩場所などについてお話していきます。フランスとひと口に言っても、私が暮らすのは南西の都市トゥールーズ。地方都市に住まう私の目に映る、人と犬の生活ぶりについてお伝えしていきますね。
どんな物件もペットOK
フランスでは、アパートや賃貸物件を含めたどのような住環境であっても、基本的には犬や猫などのペットを飼育することが認められています。(※3)飼育の自由が保障される一方で、ペットのしつけやマナーなどは飼い主の良識や責任にまかされているという前提があります。
私の周りにいる犬を飼育する家族や友人は、郊外に一軒家をかまえ、お庭のある広々としたおうちで犬とともに暮らしている場合が多いですが、わが家のようなアパート住まいであっても猫や犬などのペットとともに暮らす人は数多くいます。私たちのアパートの同じ棟にも犬を飼う家族が数世帯あり、日中、塀で仕切られたアパートの敷地内を犬たちが自由に走り回っている姿をよく見かけます。
※3 Service publicによる犬猫飼育についての記載
川や緑豊かな公園、自然あふれる街並みを歩く
トゥールーズには、世界遺産のミディ運河や、ガロンヌ川という大河が流れており、河川敷をジョギングやサイクリングをする飼い主とともに元気に走る犬たちの姿が見られます。街なかだろうとどこであろうと、犬たちは時にリードにつながれることなく、のびのびと歩き回っています。
フランスはどんな街にも緑あふれる公園が多く、お散歩場所には困りません。公園にはドッグランエリアが設置されている場合もありますが、実際はそうしたエリアで遊んでいる犬よりも、公園内をリード無しで自由に駆け回る犬たちの方が圧倒的に多い印象です。
もちろん近くで飼い主が犬の様子を責任もって見守っていますが、きちんとしつけられている場合が多いため、周りを歩く人や子どもたちも安心して過ごしていますし、犬をはなっているからと言って嫌な顔をする人はほとんど見たことがありません。
カフェやレストランのテラス席で犬とくつろぐ
カフェやレストランでもペットを受け入れてくれることが一般的です。あたたかくなると飲食店のテラス席が街中にずらりと並ぶフランスですが、そこにはあたり前のように飼い主とくつろぐ犬たちの姿があります。お店の看板犬として、店内でお客さんを迎える犬たちも珍しくありません。
宿泊施設のペットの受け入れは確認が必要ですが、カフェやレストランと同じく、「ペットOK」を全面的に銘打つ場所は少なく、あくまで「ペットフレンドリーな宿」という感覚の施設が多いようです。
フランス、悲しい犬事情も
さて、こんなふうに人と犬が豊かに共生するフランス社会ですが、一方で、年間飼育放棄率が高いという悲しい現実があります。理由はさまざまですが、「バカンスで長期旅行に出る間のお世話ができない」といった問題が背景にあるようです。
これに限らず、ペットにまつわる数多くの問題を受け、2021年、フランスでは動物愛護に関する法律が改正になりました。これにより、2024年以降はペットショップで犬猫などの生体販売が禁止されることに。
フランスのペットショップの軒数はすでにかなり少なく、私はまだこちらでペットショップを見かけたことがありません。しかし現在はまだ数百のペットショップで子犬や子猫を購入できる状態なのだそうです。2024年以降は、犬を飼育する場合、主にブリーダーか保護団体から譲り受けるというどちらかの選択になります。
さらにもう一点、フランスの犬事情を語る上で目をつぶることができないのが、犬のフン処理問題です。「フランスの街を歩く際は、足元に注意して」なんて皮肉を言う人もいるほど、フランスの道には至るところに犬のフンが落ちています。お散歩時、きちんとフンを拾う飼い主が大多数ではありますが、一方でそれをしない人も少なからずいるのが現状です。街にはあらゆる箇所に無料の犬用フン袋やゴミ箱が設置されているのですが、なぜだかこうした風潮は強く残っているようです。
さいごに
さて、今回はフランスの犬事情についてざっとお話をさせていただきました。こう見ると、犬種の好みから犬の受け入れ方など、ところ変われば日本とは事情が異なる点も多いですね。
今後は、テーマを絞りながら、さらにフランスの犬の様子について詳しくご紹介できればと思います。コラムのご感想や、テーマのリクエストなども募集しています!どうぞお気軽にご意見をお聞かせくださいね。それではまた次回!
- Writer:Mariko Dedap