【犬の歯磨き実践ステップ編】中級者基礎レッスン!〜大型犬版~

【犬の歯磨き実践ステップ編】中級者基礎レッスン!〜大型犬版~

  • 歯磨き

INUMAGの犬の歯磨きコンテンツ「実践ステップ編」。先日は小型犬版、フランソワくんがレクチャーを受けた様子をお伝えしていきました。 →小型犬版を読む

さて、大型犬版となる今回は、前回に続き歯磨き初心者のワンちゃんグレート・ピレニーズのさくらちゃん&飼い主の田子さんと一緒に、歯磨きトレーニングを実践していきます。

今回も犬の歯磨きを教えてくださるのは、犬の歯磨きのスペシャリスト。INUMAG歯磨き講師で神奈川を拠点に活躍されている「Peace&Hope」代表のドッグトレーナーの渡辺ゆずる先生です。

マズルが大きな大型犬ならではの悩みにも寄り添った、トレーニング方法をご紹介します。

歯磨きトレーニングに挑戦してみよう

今回歯磨きトレーニングに挑戦してくれたのはINUMAGのモデル犬としても活躍するグレート・ピレニーズのさくらちゃん(6歳)と田子ますみ(タゴ マスミ)さん。
当日準備してきてもらったのは、前回から引き続き普段使用している歯ブラシ・コップ(歯ブラシをゆすぐ用)・おやつ(愛犬の大好物)です。

今回も飼い主のますみさんと参加してくれたさくらちゃん!

フレンドリーで好奇心旺盛なさくらちゃん。歯ブラシには慣れたかな?
前回のレッスンから2カ月。(今回のレッスンは、前回のレッスン時から2カ月後の開催でした)前回の復習をしつつ、あれから歯ブラシに対して変化があるかどうかをチェックしていきます。

初級編の復習|歯ブラシを口に入れ犬歯を磨いてみよう

前回の初級者基礎レッスンでは、歯ブラシに慣れ、犬歯に軽く触れるところまで練習してきました。あれから練習を重ねてきたさくらちゃんですが、歯ブラシを嫌がらずに口に入れられるかな?

まずは前回のレッスンで学んだ「歯ブラシを見る→マズルを触る→マズルを上げて犬歯を出す→犬歯を磨く」までの一連の流れに挑戦してみましょう。

▼前回の記事を読む

歯ブラシの持ち方も復習です。ペンを持つように、力が入りすぎないように握ります。(田子さんは左利きのため左手で持っています)

ペンを持つ握り方で優しく

久しぶりの撮影でちょっと緊張気味のさくらちゃん。

歯ブラシを差し出すと、正面から目を背けないでしっかり歯ブラシを見ることができています。

鼻を近づけてクンクンとにおいを嗅ぎ興味津々です。

歯ブラシに興味を持ったら、次は歯ブラシを持った反対側の手で犬歯が見えるくらいまでマズルを指で押し上げます。そして、犬歯をシュッと手前に引き磨きます。できたら、反対側の犬歯も磨いてみましょう。

このときの体勢は、正面のお座りでも伏せの姿勢でも大丈夫です。ワンちゃんが好きな体勢で行います。

犬歯をシュッと磨くことができたら、ご褒美をあげて褒めてあげましょう。

前回までの復習はここまで。さくらちゃん、何の問題もなく習得できました。

✔︎ ここがポイント!
トレーニングはリラックスした雰囲気で始めましょう。飼い主が緊張感を持っていたり、プレッシャーに思っていると自然と犬にも伝わってしまいます。飼い主も楽しんでトレーニングしていきましょう。

奥歯に歯ブラシを当ててみよう

犬歯を磨けるようになったら、次は奥歯を磨いてみましょう。
犬歯を磨くときと同じように、マズルを指で上げて奥歯まで歯ブラシを差し込みます。大型犬の場合、マズルが大きいのでしっかりと指で固定して歯ブラシが奥歯まで届くようにします。

さくらちゃん、歯ブラシを口の奥まで入れても全く嫌がっていません。

マズルをしっかりと上げ口の中を目視しながら歯ブラシを動かして、一本ずつ磨きます。歯ぐきのラインに沿って歯ブラシを当て、歯ぐきと歯の間もマッサージするように歯ブラシを動かしていきます。

上手にできたらご褒美を上げてしっかりと褒めましょう。

奥歯付近は磨きにくい箇所でもあるため、食べかすや汚れが溜まりやすいです。人間は汚れを落とすために歯磨きやうがいをしますが、犬は水を口にふくんでうがいをすることができません。奥歯に溜まりやすいプラークをしっかり歯ブラシを使って取り除いてあげましょう。歯ブラシに付着した汚れはその都度、コップの水ですすぎながら磨きましょう。

✔︎ ここがポイント!
犬の歯磨きは、歯を磨くというだけではなく歯茎をマッサージをして血行を促し、唾液を出すことによって、お口の中の汚れをリンスしてあげるイメージでやってみましょう。
水を少量含んだ歯ブラシで刷掃することによって、お口の中をリンスするのと同じ効果があります。

前歯や歯の内側を磨くために必要なことは?

奥歯を磨けるようになったら、次は前歯です。前歯を磨くのを嫌がる犬も多い場所です。まずはマズルをあげて前歯を見せる「イー」をする練習から始めてみましょう。

<「イー」の口の練習>

① 鼻の下に指を水平に置き上唇に当てます。クイッと引き上げるように指で上唇を上げてみましょう。

② 親指と人差し指を使って固定し、鼻と上唇を押さえて上唇を上に押し上げます。

①か②のやり方どちらか嫌がらない方で、前歯を見せる「イー」のコマンドを教えておくと今後、前歯の歯磨きが楽にできるようになります。①②ともに、上唇が上がり前歯を見せることができたらその都度ご褒美をあげます。

また「イー」以外にも歯の裏側や隅々まで磨きたい場合、口を開けた状態を保つことも必要です。「あーんして」など分かりやすい言葉を使って、口を開ける練習も併せて行いましょう。

言葉の合図・「イー」や「あーんして」→  手の誘導 → 体勢をキープ→ ご褒美を与える

一連の動作を繰り返すことで、体勢をキープする時間を少しずつ長くしていきます。慣れてきたら、歯ブラシを使って少しずつ歯を磨いていきましょう。

慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、ご褒美を上手に活用しながら行います。さくらちゃんも、前歯はこれからの課題です。

さくらちゃん 、今回もレッスンがんばりました!おつかれさまでした。

✔︎ ここがポイント!
新しいコマンドを教えるときには、トリックやご褒美を活用して楽しく遊び感覚でトレーニングをしていきましょう。

渡辺先生のアドバイス~トレーニングの心得~
One Point!
トレーニングは準備を整えてから始めよう
トレーニングには飼い主にも犬にも集中力が大切です。飼い主も必要なグッズやご褒美など準備を整え、愛犬が興奮している場合は落ち着いてトレーニングに取り組む準備ができるまで待ちましょう。
犬の歯磨きは、口の中の汚れを洗い流してあげるようなイメージで
うがいで口がすすげない犬の口の中は、ネバネバした唾液や汚れが溜まりがち。歯磨きでは歯を磨くことだけを目的とせずに、歯ぐきも優しくマッサージしながら歯ブラシを使って口内の汚れを洗い流すようなイメージでブラシで汚れを取り除きましょう。
コマンドを活用して、歯磨きしやすい体勢をキープできるようになろう
「イー」や「あーんして」など、歯磨きがやりやすくなる体勢ができるようにご褒美を活用しながら練習していきましょう。

さいごに

今回は、大型犬(グレート・ピレニーズ)をモデルに歯磨きトレーニングについて詳しくご紹介していきました。この2カ月ですっかり歯ブラシに慣れたさくらちゃん。嫌がることなく犬歯と奥歯をしっかり磨けるようになりました。

あとは、「イー」や「あーんして」などの新しいコマンドを覚えて前歯や歯の内側を磨けるようになれば、歯磨きトレーニングも終了です。

今回2カ月に渡り歯磨きトレーニングに挑戦した田子さんは「歯磨きの練習をすることで、さくらとコミュニケーションを取る機会が増え、一層絆が深まった感じがします。これからもマイペースで進めていきたいと思います」と歯磨きに対する思いやこれからの意気込みを話してくださいました。飼い主と犬の絆も深まる歯磨きトレーニング。私も取材させていただいて、愛犬と思いを通じ合わせて、ひとつの目標に向かって進んでいくトレーニングの素晴らしさを実感しました。

田子さん、さくらちゃん、これからも歯の健康を保つため、歯磨きを続けてみてくださいね。

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  • Writer:おおくぼ あい
渡辺 ゆずる|『Peace&Hope』代表・ドッグトレーナー

渡辺 ゆずる|『Peace&Hope』代表・ドッグトレーナー

神奈川県横浜市を拠点とした家庭犬ドッグトレーニング『Peace&Hope』の代表、ドッグトレーナー 。また犬の歯磨きのスペシャリストでもあり、『ドッグデンタルケア.トレーニングソサエティ』の発足メンバー。各地で勉強会を開き歯磨きのやり方やノウハウを指導。INUMAGでは、ドッグトレーナーとしての記事の監修や、歯磨きの指導者として歯磨きコンテンツを担当。

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