【犬の歯磨き実践ステップ編】中級者基礎レッスン!〜小型犬版~

【犬の歯磨き実践ステップ編】中級者基礎レッスン!〜小型犬版~

  • 歯磨き

これまでINUMAGで連載してきた犬の歯磨きコンテンツ。歯磨き初心者のワンちゃん&飼い主と一緒に、歯磨きトレーニングにチャレンジしてまいりました。

今回も犬の歯磨きを教えてくださるのは、犬の歯磨きのスペシャリスト。INUMAG歯磨き講師で神奈川を拠点に活躍されている「Peace&Hope」代表のドッグトレーナーの渡辺ゆずる先生です。

前回の初級者基礎レッスンで覚えたことを中心に、今回は実際に歯を磨いていく”中級者レベル”のところまで進めていきます。歯ブラシを口に入れて歯磨きをするにあたって注意する点や、嫌がるときの対処法などより詳しくレクチャーしていただきました。

歯磨きトレーニングに挑戦してみよう

今回歯磨きトレーニングに挑戦してくれたのは前回に引き続きINUMAGモデル犬でポメラニアンのフランソワくん(1歳)と、お姉さんのミムさん。今回も当日準備してきてもらったのは、普段使用している歯ブラシ・コップ(歯ブラシをゆすぐ用)・おやつ(愛犬の大好物)です。

今回もお姉ちゃんのミムさんと一緒に参加のフランソワくん!

前回の歯磨きトレーニングから2カ月。(今回のレッスンは、前回のレッスン時から2カ月後の開催でした)
自主トレの成果はいかに?

初級編の復習①|歯ブラシを嫌がらないかな?

前回の初級者基礎レッスンでは、歯ブラシを好きになってもらい、歯に軽く触れるところまで練習してきました。あれから2カ月、フランソワくんは歯ブラシを怖がらずに受け入れてくれたかな?

まずは前回のレッスンで学んだ「歯ブラシを見る→マズルを触る→マズルを上げて犬歯が見える」までの一連の流れに挑戦してみましょう。

▼前回の記事を読む

トレーニング前のリラックスしたフランソワくん。落ち着いた状態でトレーニングをスタートすると集中力も高くなります。

まずは、ご褒美を使って「おいで」のコマンドで呼び寄せて目の前にお座りさせます。

フランソワくん、しっかりと飼い主に集中して指示を待っています。

次は、歯ブラシを見せてみましょう。

前回のレッスン後から、2カ月ほぼ毎日歯ブラシトレーニングを実践していることもあり、とても落ち着いています。歯ブラシを間近で見ても怖がったり、嫌がっている様子はありません。

次は、マズルを上げてみましょう。

飼い主の利き手の人差し指と親指で【C】の形を作り、そのCを形どった内側にマズルを引き寄せるように、ご褒美で誘導します。

次に、マズルを指で触れてみます。

マズルを上に引き上げ犬歯が見えるようにします。
マズルに触れても嫌がることなく、落ち着いた体勢を維持できています。

次は、マズルに触れた状態で歯ブラシを近づけます。

フランソワくん、マズルに触れたまま歯ブラシを見せても、嫌がることなくお座りをキープできました。

✔︎ ここがポイント!
とにかく犬にとって嫌な経験にならないように時間をかけて慣らすことがポイント。
歯ブラシが怖いもの、嫌なものではないことをしっかり経験させます。
ご褒美を使って、楽しみながらトレーニングできるようにしましょう。

初級編の復習②|口の中に歯ブラシを入れられるかな?

次は口の中へ歯ブラシを入れられるかな?
歯ブラシの持ち方も復習しましょう。

歯ブラシは、力が入りすぎないようにペンを持つように握ります。

ペンを持つ握り方で優しく

力が入りすぎたら、痛みを与えることもあるので歯ぐきにも優しくタッチできるように飼い主も気をつけましょう。

左手でマズルを包み込むように触れて、そっとマズルを引き上げます。
歯ブラシを犬歯に触れてシュッと引きます。

ここまでが前回の初級者基礎レッスンの復習です。フランソワくん、しっかり習得できています。

✔︎ ここがポイント!
飼い主とのコミュニケーションを取りながら取り組むことが重要。あまり時間をかけていると犬が人の手に対し嫌悪を感じることもあるので、マズルを上げる手の動きをスムーズにできるように練習してみましょう。

奥歯を磨いてみよう ~愛犬のマズルの長さを知る~

犬歯に歯ブラシを当てることができるようになったら、歯ブラシを少しずつ動かすことで他の歯を磨くことができるようになっていきます。次の段階は、前歯と奥歯どちらでもいいですが愛犬の受け入れる方から磨けるようにしていきましょう。
今回のトレーニングでは奥歯からチャレンジしてみました。

犬歯よりも奥にある奥歯は、マズルを大きく引き上げてもなかなか見えづらいものです。そのため、苦手意識がある飼い主も多いのではないでしょうか。また小型犬の場合、マズルの奥行きが分かりづらいためどこまで歯ブラシを入れていいのか分からない飼い主も多く、上手に磨くことができない場合もあるようです。

「口の中は外からは見えませんが、歯磨きトレーニングを進めるうえで自分の愛犬の歯の形や歯並びなどを知ることは、愛犬のお口の健康を保ってあげるためには大切なポイントです」と渡辺先生。

まずは、愛犬の口の奥行きがどのくらいあるのかを知るために自分の指を使って外からチェックしてみましょう。

フランソワくんの口の奥行きは、ミムさんの人差し指の第二関節の少し下ぐらいの奥行きがありそうです。

それ以上、奥まで歯ブラシを入れてしまうと痛みや不快を与える可能性もあります。

そうならないためにも、使っている歯ブラシにマジックで線を引いたりシールで印を付けて、それ以上奥に歯ブラシを入れないように気を付けるようにしましょう

マジックで印を入れるミムさん。これが目安になるので安心です。

奥歯をしっかり磨こうとするあまり、この印よりも奥まで歯ブラシを突っ込んでしまうとNG。嫌がってトラウマになることもあるので注意しましょう。

✔︎ ここがポイント!
愛犬の口の中の奥行きは犬種や体格によっても異なるので、飼い主が認識していることが大切です。外側からよく観察して、歯ブラシに印をつけてみましょう。

前歯を磨いてみよう ~「やめて」のサインを見逃さないで~

奥歯を磨けるようになったら、今度は前歯にも歯ブラシを当てる練習をしていきしょう。

こちらも、最初はシュッと触れるような感じからスタート。
前歯は嫌がることも多い場所です。嫌がったり逃げたりする場合には、抱っこして後ろから磨く方法もあります。

フランソワくんも、まだ歯磨き初心者。前歯磨きはあまり得意ではないようです。
徐々に慣らしていきましょう。

前歯を磨くのを嫌がる犬には、まずはマズルをあげて前歯を出す「イー」をする練習から始めてみましょう。

あまりに嫌がるようであれば慣れるまで歯磨きシートを活用するのもオススメです。
歯ブラシよりも当たりがソフトなので、あまり嫌がることなく表面の汚れを拭き取ることができます。

一枚のシートタイプの歯磨きシートは指に巻き付けて使いますが、ゆるく巻いてしまうと犬によっては、歯みがきシートをかじったりしてしまい、うまく歯の表面を拭けないことも。

このようにゆるく巻いてしまうのは×

指にぴったり沿わせて、しっかりと巻きましょう。

指にぴったりと巻きましょう◎

歯磨きトレーニングは「歯を磨く」ことがゴールではありますが、目標を達成するために焦って愛犬が出している「やめて」のサインを見逃して歯磨き嫌いになってしまっては本末転倒です。以前からお話しているように、犬の嫌がることはしないのがトレーニングの鉄則です。「やめて」のサインを見逃さないようにして、愛犬に合った方法を見つけてケアしていくことが重要です。

なので、歯磨きができないからと言って焦らずに、歯磨きシートを並行して取り入れながら、歯ブラシで磨けるようにしていくといいでしょう。

ちょっとしたボディシグナルも見逃さず、愛犬からのサインを正しくキャッチしていきましょうね。

✔︎ ここがポイント!
犬が嫌がるポイントはそれぞれ違うもの。歯ブラシだけの歯みがきにこだわることはないので、磨けないからと言って、お口のケアを何もしないのではなく、愛犬が受け入れてくれる愛犬と相性のいいデンタルグッズを活用するのもオススメです!
愛犬が出す「やめて」のサインも見逃さないようにボディシグナルにも注意して観察しながらトレーニングしていきましょう。

歯磨きを短時間で効率的に行うコツとは

犬歯→奥歯→前歯 とトレーニングのコツをお話してきましたが、歯磨き初心者のワンちゃんにとって、歯磨きの時間が長くなってしまうとそのことが苦痛に感じてしまうこともあります。飼い主が一生懸命に取り組みたくなる気持ちも分かりますが、犬にとって嫌な時間にならないように心がけることが一番です。

そのためには、以前からお話しているようにトレーニング自体も犬にとって楽しい時間になるように遊びを取り入れたり、ご褒美を与えながらたっぷり褒めて進めることが大切なのです。
また、ご褒美を使って遊びの要素を取り入れて興味を引かせることによって、集中力がアップすることも。

レクチャーの合間合間に渡辺先生に遊んでもらい、楽しく集中力をUP!

そして歯を磨く所要時間もダラダラと時間をかけて磨くのではなく、あまり長時間にならないように気を付けたいもの。特に歯磨き初心者は、集中力が保てるよう要領よく短時間で慣らしていくことが求められます。

では、短い時間で効率よく磨くためにはどうしたらいいのでしょう。

犬の口は構造的に、歯垢(プラーク)が溜まりやすい場所とそうでもない場所があります。奥歯付近は磨きにくい箇所でもあるため、食べかすや汚れが溜まりやすいです。

まずは汚れが溜まりやすい犬歯付近や奥歯の周辺を重点的に、毎日しっかり磨くところから始めましょう。そして、少しずつ範囲を広げていくと、いずれ口の中全体を磨けるようになっていきます。
最終的に歯の裏側などすみずみまで磨けるようになるころには、犬本人も歯磨きに慣れ、飼い主も歯磨きのコツがつかめているはずです。

今回の歯磨きで落ちた汚れを見てみよう!

今回のレッスン時間はほんのわずか。渡辺トレーナーから飼い主への説明や、途中途中フランソワくんと遊びつつのレッスンだったので、実際に歯磨きした時間は少しだけですが、たくさんの汚れを取り除くことができました。

これは、歯磨きしたフランソワくんが使ったコップ。
レッスン中軽く犬歯や奥歯を磨いた歯ブラシをすすいだものですが、コップの底には刷掃した食べかすが浮遊しています。ちょっとした歯磨きでも、これだけの汚れを取り除くことができるのです。

写真では分かりづらいかもしれませんが、実際には汚れがだいぶ目立ちました。

毎日のちょっとした時間の歯磨きでも、その日にたまった汚れをその日のうちにきれいにすることで、口内環境を整えることにつながっていくのですね。

今回も楽しんでレッスン受けてくれたフランソワくん!おつかれさまでした。

フランソワくん、お姉ちゃんや先生にたくさん褒められてご満悦そうでした♪

✔︎ ここがポイント!
慣れていないのに長い時間をかけて歯磨きすることは愛犬の負担になることも。歯磨きで大切なのは、磨く時間ではなくどこに重点を置いて磨くか。汚れがたまりやすい場所を重点的にケアしていくことが重要です。慣れてきたら少しずつ磨くエリアを増やしていきましょう。

渡辺先生のアドバイス~トレーニングの心得~
One Point!
歯磨きの基本はいかに歯ブラシを嫌がらずに口に入れられるか
歯ブラシ自体が嫌いになってしまったら、歯磨きをすることはできません。 時間がかかっても、歯ブラシに慣らす練習はじっくりやっていきましょう。
愛犬の体の作りををしっかり知ろう!
口の奥行きは、外見からはなかなかわからないものです。愛犬が嫌な思いをしないようにじっくり観察したり想像してみながら、愛犬の体の構造を知ることも忘れずに。
歯垢(プラーク)が溜まりやすい場所を知ろう!
口の中でも汚れやすい場所を重点的にケアすることで、歯磨きがより効果的に行えます。ポイントを押さえて効率よく歯磨きに取り組もう

さいごに

2カ月に渡り歯磨き初心者のフランソワくんが歯磨きトレーニングにチャレンジした「犬の歯磨き基礎レッスン~小型犬版~」はひとまずこれにて終了です。フランソワくん、よくがんばりましたね!
小型犬ならではのマズルの小ささへの対処法や汚れが溜まりやすい場所など、今回もためになる話が盛りだくさんでした。

フランソワくんも、この2カ月のトレーニングで歯ブラシを怖がらず口に入れることができるようになり、あとは少しずつ磨ける部分を増やしていくだけです。これからも、毎日少しずつでもいいので続けられるようにがんばってくださいね。

INUMAG読者のみなさまにとっても参考になりましたら幸いです。
これからもINUMAGでは、すべての犬たちが健康に長生きして、飼い主と一日でも長く楽しく過ごせることを心から願っています。

この記事はいかがでしたか?
  • Writer:おおくぼ あい
  • Photographer:太田 理恵
渡辺 ゆずる|『WanHouse』代表・ドッグトレーナー

渡辺 ゆずる|『WanHouse』代表・ドッグトレーナー

神奈川県横浜市を拠点に、出張型ドッグトレーニング『Peace&Hope』を代表として運営。その後2023年に茅ヶ崎市に移転し、ドッグサロン『WanHouse』をオープン。トレーニング・トリミング・フォト・各種イベントやセミナーなど、内容が充実したサロンです。
また犬の歯磨きのスペシャリストでもあり、『ドッグデンタルケア.トレーニングソサエティ』の発足メンバー。各地で勉強会を開き歯磨きのやり方やノウハウを指導。INUMAGでは、ドッグトレーナーとしての記事の監修や、歯磨きの指導者として歯磨きコンテンツを担当。

SHARE

「歯磨き」の記事

OTHER

  1. INUMAG(イヌマグ)
  2. 歯磨き
  3. 【犬の歯磨き実践ステップ編】中級者基礎レッスン!〜小型犬版~