犬にブラッシングは必要?効果や頻度は?ブラシの選び方も紹介

犬にブラッシングは必要?効果や頻度は?ブラシの選び方も紹介

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愛犬の被毛ケアには欠かせない「ブラッシング」。「犬の『毛』について学ぼう!」の記事では入門編として、被毛の種類やその特徴を中心にご紹介しました。そこで今回は、その被毛を美しく健康に保つために、まずしたい「ブラッシング」に注目してみたいと思います。被毛ケアのひとつである「ブラッシング」の必要性やケアだけに留まらないたくさんの効果。さらには犬種の被毛ごとに使い分けたいブラシの種類、そしてブラッシングの頻度についてもご紹介しますので、ぜひ覚えていってくださいね。

犬のブラッシングって本当に必要?

犬のブラッシングは、皮膚の健康、清潔さを保つためにやはり必要なものです。さらに言うと、ブラッシングの効果は、それだけではありません。そのメリットの多さに、驚く方もいると思います。まずは、ブラッシングの必要性について簡単に見ていきましょう。

ケアだけじゃない「ブラッシングの効果」

すでにお伝えしたとおり、ブラッシングの効果は、被毛を整えるだけではありません。

  • ノミやホコリ、チリの除去
  • 血行の促進
  • 病気やケガの早期発見
  • 触れ合いによる信頼関係の構築(コミュニケーション)
  • 服や家具への抜け毛の付着を減らす

といった、効果も期待できるのです。

また、散歩などから帰宅して家に入る前にブラッシングをすることで、ノミやホコリなどを事前に払い落し、そういったアレルギー源を「家の中に持ち込まない」というメリットもあります。そしてブラッシングは犬にとっても、大好きな飼い主がめいっぱい触れてくれる心地よい時間です。ある意味、リラックス効果もあると言っても良いでしょう。愛犬との絆をより深くするためにも、ぜひ積極的に行うことをオススメします。

ほかにも、体に触ることに慣れてもらえれば、日々のお手入れや動物病院での診察、将来の介護もやりやすくなります。

犬に「ブラッシングをしない」とどうなる?

数日しない程度であれば、さほど問題はありません。ただ「ブラッシングをまったくしない」となると、このような可能性が考えられます。

皮膚炎 

犬にブラッシングをしない場合、一番心配したいのが「皮膚炎」です。抜け毛や毛玉が放置されると、皮膚の通気性が悪くなりノミやダニ、雑菌が繁殖しやすい環境に。皮膚炎の中には重症化すると、激しいかゆみや脱毛を引き起こすものもあり、これは犬にとってもかなりのストレスと言えるでしょう。

ストレス

毛玉や換毛期の抜け毛の放置も、あまりオススメしません。とくに長毛種にできる「毛玉」は皮膚ごと引っ張るので、犬も痛みを感じ辛い思いをします。換毛期の抜け毛は、若干違和感があるようで、犬の中にはその時期イライラする子もいるようです。

手間とお金がかかる

絡まった毛や毛玉は、取り除くのにとても手間がかかります。一部のトリミングサロンでは別料金となる場合もあり、そうなると普段のトリミング料金よりもプラスαで料金がかさんでしまいます。やはり日頃からお手入れをすることが一番と言えるでしょう。

病気やけがの発見が遅れる

ブラッシングの効果でお話したとおり、犬の病気やけがに気づかないまま過ごしてまう確率は、する人と比べるとどうしても高くなります。

愛犬の被毛に合った「ブラシ」の種類を選ぼう


ブラッシングには、被毛の種類や特徴に合ったブラシを選ぶとより効果的です。ここでは代表的なブラシの種類と、オススメの使い方をご紹介します。

スリッカーブラシ

「スリッカーブラシ」は、毛のもつれ、毛玉、抜け毛の除去とオールラウンドに活躍してくれるブラシです。繊細ながらしっかりとしたハードピンとT字の形状は、換毛期の毛もしっかり取り除いてくれます。ただし、ピン先が細かいため、皮膚を傷めないよう力の入れ方には注意しましょう。

  • 長毛種
  • ダブルコートの短毛種

ピンブラシ

「ピンブラシ」は、シルキーコートのような細い毛の子に多い「毛切れ」にオススメのブラシです。人間のヘアブラシに似ていて、やや太く、長さのあるピンが円状についています。スリッカブラシーよりピンとの間隔があり、ソフトな作りのため、優しくブラッシングできるのが特徴。その一方で、毛のもつれや毛玉をほぐしたり、細かい毛を取り除いたりが苦手なため、軽く毛を梳かしたいという日常的なブラッシングで使われます。

  • 長毛種
  • ダブルコートの短毛種
  • シルキーコートの犬種

ラバーブラシ

「ラバーブラシ」は、シリコンといったゴムをメインに使ったブラシです。ソフトな感触で地肌にも優しく、通常のブラッシングに加え、血行促進やマッサージ効果もあります。ピン部分に代わるトゲの部分が短く太めなので、短毛種や中毛種、スムースコートの犬種にオススメ。

  • シングルコートの短毛種
  • スムースコート

グローブ型ブラシ

「グローブ型ブラシ」は、手袋の表面に凹凸がついたユニークな形のブラシ。ブラッシングを嫌がる犬やまだ慣れていない子犬にも、触れ合い感覚で使うことができます。ラバーブラシ同様、短毛種にオススメです。

  • 短毛種
  • スムースコート
  • 子犬
  • ブラッシングを嫌がる犬

コーム

「コーム」は、毛のもつれをとったり、仕上げとして毛を整えたりする際に使われるブラシ。人が使うクシと同じ形状をしていて、目や顔まわりなどの細かい箇所やピンポイントでのお手入れから、全体の毛を整えることもできます。ピンが細めのものと、粗めのものがあり、細めのものはブラッシングの仕上げや毛並みを整え、粗めのものは毛のもつれや抜け毛を取り除くのに使われます。

  • 長毛種
  • 巻き毛、くせ毛の犬

獣毛ブラシ

「獣毛ブラシ」は細かい毛を取り除いたり、被毛に艶を出したりと、仕上げ向きのブラシです。天然の獣毛であれば、毛に油分が含まれているため、静電気の抑制にも期待できます。犬用の獣毛ブラシには「豚毛」や「猪毛」などがあり、「豚毛」はほどよいしなやかさでやさしい使い心地から短毛種の犬にオススメ。一方「猪毛」は硬めでコシがあり、毛先までブラシを通してくれるため、長毛種やくせ毛、巻き毛の強い犬種にオススメです。

  • 全犬種

ブラッシングをする際の注意点・ポイント

特別な技術は必要ないブラッシングですが、いくつか気を付けたい点があります。愛犬がブラッシングを気持ち良く受けてもらえるように、またマナーとして以下は覚えておきましょう。

ブラッシングの強さ

まず注意していただきたいのが、ブラッシングの力の強さです。犬の皮膚はデリケートなので、慣れないうちは自分の腕や手に実際に当ててみて、力を入れすぎていないか確認しましょう。

換毛期の抜け毛

換毛期のあるダブルコートの犬種は、ぽやぽやと抜け毛が浮き出てきます。その際、ついつい手で取りたくなりますが、できる限りブラシを使って取り除きましょう。手で取ってしまうと皮膚にくっついている毛も一緒に引っ張ってしまうことがあり、皮膚を傷つけたり犬に痛い思いをさせる可能性があります。ぽやぽやと出た抜け毛は、毛の流れとは「逆に」優しくブラッシングをするとスムーズにとれますのでぜひお試しを。

ブラッシングをする場所

公共の場や他人の私有地近くで、ブラッシングは行わないことです。毛が舞ったり、残ったり、抜け毛が飛んで他人の家に入ったり。このようなことがないように、マナーとしてブラッシングは家で行い、最後には毛が飛ばないようまとめて捨てるように注意しましょう。

嫌がる場合は無理にしない

あまりブラッシングに慣れてないうちは、警戒して嫌がる犬もいるでしょう。その際は無理にするのではなく、手で撫でたらご褒美、今度はグローブ型ブラシでできたらご褒美と、どんどん小さいことからしていき、慣れてもらうことから始めましょう。このとき、できたら必ず「褒める」のをお忘れなく。

犬種別に見る「毛のお手入れ方法」と「頻度」

ここでは「シングルコート」と「ダブルコート」のそれぞれ代表的な犬種を例に、お手入れの方法や被毛に合ったブラシを紹介します。「シングルコート、ダブルコートって?」という方は、まずこちらをご覧ください。

⇒犬の「毛」について学ぼう!被毛の種類や換毛期のお手入れ方法

「シングルコート」の犬種

「シングルコート」の犬には換毛期がなく、大量の抜け毛が出ることはありません。一方で長毛種をはじめ、ワイヤーコート、カーリーコートの犬は換毛期がない分、毛が伸び続けます。そのため毛玉やもつれが起こりやすく、最低でも1~2カ月に1回のトリミング(カット)が必要です。家でのブラッシング頻度は基本「毎日」。たとえほんのわずかな数分でも、毎日ブラッシングすることで毛玉やもつれを防げるので、長期的に見てもその方が良いと思いますが、ただしどうしても忙しいという場合は、長毛種なら最低週に2~3回、短毛種なら週に1回のブラッシングを行いましょう。

プードル

オススメのブラシ:スリッカーブラシ、ピンブラシ、コーム

シングルコートのカーリーコート(巻き毛)が特徴的なプードル。一見すると毛量は多いものの、抜け毛はほとんどありません。その一方で、硬めの巻き毛は放っておくとどんどん伸びるため、毛玉やもつれにならないよう、1〜2カ月に1回のトリミングが必要。オススメのブラシは毛玉や毛のもつれ用に「スリッカーブラシ」。そして、仕上げ用の「ピンブラシ」や「コーム」も用意しておくと、一層毛並みが良くなります。

マルチーズ

オススメのブラシ:ピンブラシ、コーム

シングルコートであるマルチーズは、シルキーコートを持つ犬種です。シルキーコートは、毛が細く、艶があり、滑らかな毛質でとても繊細。そのため「毛切れ」が起こらないよう、優しくブラッシングできるブラシがオススメです。日常的なお手入れは「ピンブラシ」のような長毛種向けの優しいブラッシングができるブラシを。もし毛玉や毛がもつれた場合は「コーム」を使って取り除きます。

ミニチュアピンシャー

オススメのブラシ:ラバーブラシ、獣毛ブラシ

シングルコートでスムースコートのミニチュアピンシャーは、短毛で光沢があり、滑らかな毛質が特徴。シングルかつスムース(短毛)なので抜け毛が少ない、と思いきや意外にも毛が抜けると言われている犬種です。つまり換毛期はないものの、通常の抜け毛が多い模様。これには短毛種なので毛周期が短い(毛の生え変わりが早い)という理由がよく挙げられます。

基本のお手入れは、スムースコートなので布で汚れを拭いてあげたり、「ラバーブラシ」でのブラッシングがオススメ。仕上げに「獣毛ブラシ」を使い整えると、より光沢が出ます。またミニチュアピンシャーは皮膚が弱い子が多く、シャンプーなどのお手入れも積極的に行う必要があります。

ヨークシャテリア

オススメのブラシ:ピンブラシ、コーム

絹糸を思わせるなめらかなシルキーコートを持つ、ヨークシャテリア(ヨーキー)。その被毛から「動く宝石」とも呼ばれ、世界中で愛されている犬種です。ヨークシャテリアはとても抜け毛が少なく、その一方でどこまでも毛が伸びるという特徴があります。頭によくリボンをしているのは、毛が伸びやすく目にかかってしまうため。また、シルキーコートのやわらかな毛質によって、毛が絡まりやすく毛玉もできやすいとも言われています。そのため、ピンブラシを使った毎日のブラッシングと定期的なトリミング(カット)は欠かせません。

耳の付け根や脇の下は、とくに毛が絡まりやすいので、その部分は「コーム」を使うのも手です。またコームは、仕上げに艶を出すこともできるので、ヨークシャテリアの美しい被毛を維持するためにも、持っておきたいブラシです。

イタリアン・グレーハウンド

オススメのブラシ:ラバーブラシ、獣毛ブラシ

「イタグレ」の愛称でおなじみの、イタリアン・グレーハウンド。艶やかで光沢のあるスムースコートを持つシングルコートの犬種です。基本のお手入れは、ラバーブラシでのブラッシング、そして仕上げに「獣毛ブラシ」で細かい抜け毛を取り除きます。イタリアン・グレーハウンドはシングルコートのため、ダブルコートの犬種よりかは抜け毛が少ないとされています。ただ実際は、短毛種のため生え変わるサイクルが早く、また特有の繊維に刺さりやすい毛を持っているため抜け毛が目につくという飼い主も多いよう。そのため、日頃はお洋服を着せたり、ソファや絨毯は毛の絡まりづらい素材のものを選ぶとお掃除も楽になり、オススメです。

「ダブルコート」の犬種

毛量が多く、毛も密集しているダブルコートの犬は、1日1回のブラッシングがオススメです。とくに換毛期中は抜け毛を取り除くためにも、こまめに念入りにブラッシングしてあげるといいでしょう。このとき愛犬の様子を見つつ、嫌がるようであれば無理には続けないように。数回に分けてブラッシングを行うようにしましょう。一見大変なようにも見えますが、日常的にブラッシングを行っていれば、トリミング(カット)は必要ありません。またこの換毛期の姿が愛らしいというファンもいるようです。

※ただし例外として「シュナウザー」といった犬種はダブルコートであるものの、毛が伸び続けるのでトリミングが必要になります。

ロングコートチワワ

オススメのブラシ:スリッカーブラシ、ピンブラシ、コーム

チワワは個体によってダブルコート、シングルコートが変わります。そしてロングコート(毛の長い)チワワは、基本的にダブルコートです。日常的なブラッシングは「スリッカーブラシ」または「ピンブラシ」で毛を梳き、仕上げに「コーム」で整えると良いでしょう。毛は長いものの、ダブルコートで抜け毛があり、伸びる速度も遅いロングコートチワワは、基本的にトリミング(カット)は不要です。

シーズー

オススメのブラシ:スリッカーブラシ(ピンブラシ)

ダブルコートのものの、毛の生え変わる周期が長いシーズーは、比較的換毛期も抜け毛が少ない犬種とされています。ただし長毛種であり皮膚が比較的に弱い犬種のため、日々のブラッシングや月に1回のトリミングがオススメ。使うブラシは「スリッカーブラシ」、毛の長いフルコートのシーズーは「ピンブラシ」をメインに使うと良いでしょう。

柴犬

オススメのブラシ:スリッカーブラシ、ラバーブラシ、コーム、獣毛ブラシ

換毛期に抜け毛が多い犬として一番に挙がるのが、柴犬です。アンダーコートの量が多く、換毛時期には抜け毛が綿毛のように浮いてきます。清潔な皮膚を保つためにも換毛期は「スリッカーブラシ」や「コーム」でていねいに抜け毛を取ることが大切。換毛期でない時期であれば、「ラバーブラシ」もオススメです。仕上げに「獣毛ブラシ」を使うと、艶が出ますよ。また柴犬は皮膚が弱く、皮膚疾患にかかりやすい犬種。そのため、日常的なブラッシングもしっかり行うようにしましょう。

コーギー

オススメのブラシ:スリッカーブラシ、ラバーブラシ、獣毛ブラシ

柴犬に続き、ダブルコートの中で抜け毛が多い犬がコーギーです。たっぷりとした被毛は、換毛期にごそっと抜けるため、ていねいなブラッシングが必要。「スリッカーブラシ」で、なるべく日に数回しっかり抜け毛をとってあげましょう。換毛期でなければ「ラバーブラシ」。仕上げに「獣毛ブラシ」というのもオススメです。またコーギーは毎日のお手入れがきちんとできていると、基本トリミング(カット)が必要ありません。

ビションフリーゼ

オススメのブラシ:スリッカーブラシ、ピンブラシ、コーム

フワフワモコモコと、綿あめのようなアフロが愛らしいビションフリーゼ。ダブルコートのものの、比較的毛が抜けづらい犬種と言われています。その分、長毛のカーリーコートを維持するために、毎日のブラッシングは必須。「スリッカーブラシ」で毛玉や毛のもつれを取り、「ピンブラシ」や「コーム」で毛を整えましょう。またその毛質と量から、ダブルコートのものの1~2カ月に1回はトリミングに行き、カットをする必要があります。

ダックスフンド

オススメのブラシ:ピンブラシ、ラバーブラシ、スリッカーブラシ

ダックスフンドは3種類の毛質があり、いずれもダブルコートになります。もちろん多少は毛の抜ける量が変わり、一番抜け毛が多いのが「ロングコート」そして「スムースコート」のダックスフンドです。日本ではあまり見かけないワイヤーコートのダックスフンドも、やはりダブルコートなので換毛期には毛が多く抜けます。ブラシは毛質によって変わり、毛が絡まりやすく毛玉ができやすいロングコートは「ピンブラシ」を。短毛のスムースコートは、地肌を傷めないよう「ラバーブラシ」を。もし毛玉や毛のもつれがある場合は「スリッカーブラシ」を。といった具合に、毛質や状態よってブラシを選ぶようにしましょう。

ゴールデン・レトリーバー

オススメのブラシ:スリッカーブラシ、コーム

黄金に輝く被毛が美しいゴールデン・レトリーバーは、ダブルコートの長毛種です。換毛期にはやはり大型犬ということもあり毛が多く抜けるため、日々のブラッシングで毛が舞わないように対策しましょう。基本的に大きめの「スリッカーブラシ」や「コーム」をメインにお手入れを行います。また長毛種のものの、カットはそれほど必要ありません。ただ、耳周りの毛が毛玉になることもあるので、気になるようでしたらカットするのもひとつの手です。

さいごに

日々のブラッシングが、愛犬の健やかな毎日を作り、さらにはコミュニケーションにもなり、信頼関係を深めてくれる。そんな被毛ケアにとどまらない「ブラッシング」の効果。もちろんご紹介した毛の種類や特徴、お手入れの方法は、犬種のみで完全に分けられるものではありません。ご紹介するのはあくまで参考にしていただき、お迎えした愛犬の毛を実際に見て、お手入れの仕方を決めていただけたらと思います。犬のウェブマガジンINUMAGではほかにも、編集部が厳選したオススメブラシの紹介や、愛犬が「もっとしてほしい」と喜ぶ、ブラッシング術についても記事にしていく予定です。愛犬をお迎えする準備として、ぜひ参考にしてみてください。

この記事はいかがでしたか?
  • Writer:かい わかこ
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