犬がプルーンを食べたらダメ!犬の食事をペットフーディストが解説
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プルーンは犬に食べさせてはいけない食材です。プルーンは人間にとって豊富な栄養素で美容効果も期待できる果物でも、消化や代謝のしくみが異なる犬にとってはあらゆる危険性を伴います。誤って犬に与えてしまったり、犬に食べられてしまったりといった事故のないように気を付けましょう。
この記事では、プルーンがなぜ犬に与えられない食材か、与えてしまった場合に起こりうる症状も含めてお伝えします。
目次
高カリウム血症になる?!プルーンに含まれる栄養素
プルーンはあらゆる栄養素を含んでいます。中でもカリウムは、プルーン100グラムあたり730ミリグラムもの含有量(※1)です。これは果実類の中でもトップ10に入るほど多いため、犬にとって適量とされるカリウム摂取量の倍以上を取り込んでしまう恐れがあります。
結果、高カリウム血症になる危険性があります。カリウムは犬にとって必要な栄養素ですが、結石がたまりやすい犬は尿が出にくくなると高カリウム血症を生じる可能性もあるので、プルーンのようなカリウムが多い食材は決して与えないようにしてください。
※1 文科省 食品成分データベース より
アミグダリンで青酸中毒の危険性
プルーンの種子に含まれるアミグダリンは中毒になってしまう恐れがあります。アミグダリンは犬の体内でシアン化水素(青酸)という物質を発生させ、中毒症状を引き起こします。アミグダリンとは、以前はビタミンの一種とされていましたが、健康への有効性に関する根拠に乏しく、現在は天然の有害物質として人間も摂取に注意すべき成分となっています。
アミグダリンはプルーンの種子だけでなく葉や茎、未成熟のプルーンにも含有しています。家庭内だけでなく、犬の散歩中に公園にあるプルーンの木の近くで誤って食してしまうこともないよう注意しましょう。ちなみに、アミグダリンは熟成前の生梅や梅の種、びわの種や葉、桃の種の中にも含まれています。
ソルビトールによる消化器症状への恐れ
ソルビトールとは、天然の「糖アルコール」です。プルーンには比較的多くのソルビトールが含まれているため、犬にとっては下痢の症状を引き起こす恐れがあります。食物繊維も豊富なので、万が一プルーンを与えてしまうと、ソルビトールとの相乗効果で強い緩下症状が出てしまいます。
またソルビトールは糖分ゆえ、糖の過剰摂取にもなります。糖尿病疾患の犬はいっそう避けるべき成分です。
犬がプルーンを食べてしまったときに出る症状
犬がプルーンを食べてしまった場合、ケースによって以下の症状が出る恐れがあります。
高カリウム血症によって出る症状
- 嘔吐
- 手足のしびれ
- 不整脈
アミグダリンによる中毒症状
- 下痢
- 嘔吐
- 呼吸困難
- けいれん
犬がプルーンを食べてしまった場合には、すぐに動物病院へ相談してください。2日ほどは体調変化に気を付けて様子を見る必要があるでしょう。
種を食べてしまった場合には1〜12時間経過した頃に何らかの症状が現れることがあります。
犬の個体差やその日の体調によって症状の有無は異なりますが、愛犬の体調変化に注意が必要です。プルーンによる致死量の明確なデータはありませんが、犬にとって危険な成分であることは確認されているので少量でも与えないようにしてください。
干したプルーンや加工品も危険!
プルーンは人間用にドライプルーンやプルーンジュース、ペーストやピューレなどさまざまな加工品があります。気が付かないうちに、プルーンの加工品を使ったおやつを犬に分け与えてしまったということがないように、レシピを確認したり、成分表をチェックしたりすることも大切です。
さいごに
プルーンを犬に与えてはいけない理由と危険になる栄養素についてお伝えしました。プルーンの成分に注意するだけでなく、愛犬と生活する中で果実を丸ごと食べてしまうリスクも避けてくださいね。たとえ大型犬であっても、喉にプルーンが詰まって窒息や腸閉塞を起こしてしまうかもしれません。
愛犬との散歩で植物の成長や果実を眺めることも楽しみながら、愛犬の行動には気を付けてあげたいものです。そんな散歩のひとときも、INUMAGでは飼い主の皆さまと愛犬がずっと幸せに過ごせるよう楽しい暮らしを応援していきます。
今崎 湘子 | ペットフーディスト
2021年2月ペットフーディストの資格を取得。幼少期より大の犬好きで、現在はペットフーディストとして犬の栄養管理のアドバイスやペットライターとして活躍中。「犬も人も共に楽しくずっと一緒に」をモットーに、元保護犬トイプードルを家族として迎え入れ、2人の娘と犬のやりとりに癒やされる毎日です。