フランスで愛犬と公共交通機関を利用するには?【ボンジュール!フランス犬だより】

フランスで愛犬と公共交通機関を利用するには?【ボンジュール!フランス犬だより】

  • コラム

INUMAG読者のみなさん、こんにちは!フランス在住INUMAGライターのMarikoです。フランス犬事情についてお伝えするコラム、「ボンジュール!フランス犬だより」。第3回目の今回は、フランスで犬を連れて公共交通機関を利用する場合のお話です。

第2回目の前回は「フランスは犬の飼育率がとても高い」ことをご紹介しましたが、そんな愛犬家の多いフランスで、犬を連れて電車やバスを利用する場合はどのようなルールがあるのでしょうか。

フランスで、愛犬とバスやメトロに乗る

フランスの大都市、パリやマルセイユ、そして私が暮らすトゥールーズなどでは、バスやメトロといった公共交通機関が一般的です。この他トラムが走る街もありますし、フランス国内またはヨーロッパの国々を目的地とする長距離移動の場合は高速電車も利用できます。一方、大都市以外の町や村での移動は自動車に頼らざるを得ません。これはどの国も同じですね。

さて、それでは犬を連れた乗客がバスやメトロを利用する場合、フランスではどのようなルールが敷かれているのでしょうか。ペットの乗車規則は、地域や運営会社によって異なるため一概には言えませんが、下記のような規則が一般的です。

  • 小型犬はケージやキャリーバッグに収まるサイズであれば無料で乗車可能。
  • 上記以上のサイズの犬は、口輪やハーネスをつけるといった条件を満たせば乗車可能。
  • いずれの場合も、他の乗客の迷惑にならない限りであること。
  • 盲導犬をはじめとするガイド犬は乗車無料。

今回はパリやトゥールーズに絞り、各都市の条件をもう少し詳しく見ていきましょう。

犬と乗車、パリの場合

バスやメトロだけでなく、トラムや都市間鉄道RERなど多くの交通機関が走るパリ。これらの交通機関を運営するパリ交通公団(RATP)によると、やはり先のような条件で犬の乗車が認められています。(※1)

具体的に見てみると、小型犬は一辺45cmサイズのケージやキャリーバッグなどに収まれば、いずれの公共交通機関でも乗車が無料です。盲導犬をはじめとするガイド犬はすべての交通機関で無料で乗車が可能。規定サイズのケージなどに収まらないサイズのワンちゃんは、リードおよび口輪をつけた状態であれば、鉄道とメトロは無料で乗車ができるようです。

ただし、時間帯やバスによっては犬が乗車できない場合もあるとのこと。トラムやバスなどでは犬を乗せられるスペースが指定されている場合もあるので、犬を連れて乗車する場合は事前に駅スタッフや運転手などに確認をとるのが無難と言えそうです。

※1 RATPによる犬乗車についての記載

地方都市トゥールーズでは

私が暮らすトゥールーズも、多くの市民の足はメトロやバスですが、ペットに関する規則はパリに比べると少し厳しいようです。トゥールーズのバスやメトロを運営するTisséoの規則には、「腕に抱えられる程度、またはケージやキャリーバッグに収まる小さいサイズのペットであれば乗車可能」「座席は使用しないこと」という記載があります(※2)が、中型サイズ以上のペットについての記載はありません。ガイド犬や職業犬の乗車はもちろん認められています。

しかし正直なところ、メトロやバスを利用していると、時折ガイド犬以外の中型・大型犬を見かけることがあります。ルールがあっても、犬のしつけられ具合、時間帯、またその時のスタッフや運転手によってはOKになることもしばしば、ということなのかもしれません。(ペットの件に限らず、役所や各所事務の問い合わせなど、よくも悪くもおおざっぱなところがあるというのはフランス生活の醍醐味です。)

※2 Tisséoの乗車規則

犬と鉄道で長距離移動する場合は?

フランス国内の都市から都市へ長距離移動する場合は高速電車が便利です。フランス国鉄SNCFが運営する高速鉄道TGVは日本の新幹線のようなもので、国内の主要都市や、フランスとヨーロッパ隣国の都市をつないでいます。航路もいいですが、愛犬と陸路で行く旅路も楽しそうですね。

国鉄SNCFによると、小型ペットの場合、最大45cm×30cm×25cmのケージやバッグに収まれば無料で乗車がOK。それ以上のサイズのペットは、高速鉄道TGVは一律料金7ユーロ(約1000円)、格安高速鉄道OUIGOは一律10ユーロ(約1400円)で乗車ができると決められています。長距離移動の場合は口輪もつけるようにという記載も見られます。(※3)

この一律料金が採用されたのは、実はつい最近、2022年6月のことです。それ以前はペットの重量により乗車料金が決められていました。旧料金規定では、6kg以下の動物は7ユーロ。それ以上の重量のペットの場合、2級クラスの座席券の半額を支払わなければなりませんでした。つまり、100ユーロの区間であれば、一頭あたり50ユーロも運賃がかかったというわけです。改定の理由のひとつとして、乗客から「あまりに高い」と不評が募り、署名運動まで起こったという背景があるようです。

※3 SNCFの犬の乗車規則

犬とフランス国外へ車で移動する場合

陸続きのヨーロッパでは、自動車で他国へ出かけることも珍しくありません。犬を連れて長期のバカンスへ出かけることもまた一般的です。

しかし同じEU圏内であっても、国によって犬に関わる規則が異なります。目的地では犬の健康証明書や予防接種証明書は必要だろうか?パスポートは必要なのか?旅先で公共交通機関を利用する場合はその規則なども含め、事前に確認することが大切になってきます。

さいごに

今回は、フランスで犬を連れて公共交通機関を利用する場合の規則についてご紹介しました。

都市や運営会社によっては、「他の乗客の反応によっては降車をしなければならない」という文言が書かれている場合もあります。しかし、基本的にはペット連れ(また赤ちゃん連れなど)に寛容な人々が多いフランス。私自身こちらに暮らして2年ほど経ちますが、よほどマナーが守れない飼い主やしつけがなされていない犬でない限り、ペット連れもおおらかに受け入れる乗客が多いのではと感じています。

フランスに限らず、日本から海外旅行をされる場合、「愛犬も一緒に」というのはなかなか難しいことも多いかもしれません。しかし、大変さがある一方で、愛犬と海外旅行をしてみると多くの発見に出会えることも間違いないでしょう。読者のみなさんも、いつの日か機会があればぜひワンちゃんと一緒にフランスへ遊びにいらしてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました!それではまた次回に。

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  • Writer:Mariko Dedap
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