犬の歯磨きレクチャーを受けて感想・その後についてフランソワくんへインタビュー
- 歯磨き
これまでINUMAGの犬の歯磨きコンテンツでは、犬の歯磨きのスペシャリストで神奈川を拠点に活躍されている「Peace&Hope」代表のドッグトレーナーの渡辺ゆずる先生を講師に迎え、犬の歯磨きの方法をご紹介してきました。
初級編のあとには「実践ステップ編」がスタート。先生の指導の元、2匹のワンちゃんたちが実際に歯磨きに挑戦。渡辺先生から2回のレクチャーと歯ブラシに慣らすための2カ月の自主トレーニングの末、無事歯磨きライフを開始することができました。
今回は、「実践ステップ編」の番外編。小型犬版で歯磨きに挑戦してくれた、INUMAGモデル犬でもあるポメラニアンのフランソワくんのママさん(奥脇さん)にレッスンを受けた感想や、トレーニングのその後のお話を伺ってみました。
”犬の歯磨き”の事前知識やこれまでの歯磨き
INUMAGにて歯磨きのレクチャーがスタートした時点では、「犬の歯磨きは初心者」と言っていた奥脇さん。実際レクチャーを受ける前の知識や、これまでのレベル感はどうだったのかお伺いしてみました。
Q.今回の実践レッスンを受ける前に「犬にも歯磨きをする必要がある」ということは知っていましたか?
奥脇さん:フランを飼う以前コーギーを飼っていたんですが、そのときは歯ブラシを使って歯磨きをすることがあまり分かっていませんでした。ただ食後に歯磨きガムなどは与えていました。
ブリーダーさんのところにフランを迎えに行ったとき(生後2ヶ月頃)に、「歯磨きは毎日歯ブラシでやってください」と言われていたのですが、同時に育て方やブラッシングの方法などお手入れの仕方などいろんなことを同時に教えてもらっていたため、歯磨きのことは記憶も薄れてしまっていたんです。
Q.歯磨きのレッスンをチャレンジしてみたいと思ったきっかけはなんですか?
奥脇さん:その後しばらくは、ブリーダーさんのところでもらった靴型の小さなガムをフランが噛んでいたので、それを与えていましたがそのうち食べなくなってしまいました。そのことをブリーダーさんに相談したら、今度は「馬のアキレスを勧められて与えるよう」にと。なので、ガムのように固いものを噛むことで歯磨きケアができているんだと思っていました。でも動物病院の先生に「ガムはあまり意味がない」「硬いのも危ないからあまりやらない方がいい」などと言われてしまって。それからは「固いものを噛むことはなく歯ブラシで歯を磨くようにしましょう」というアドバイスもあり、歯磨きに意識が向くようになりました。
Q.渡辺先生の指導を受ける前はどんな歯磨きケアをしていましたか?
奥脇さん:フランは飼い始めてすぐにしつけ教室のパピークラスに通わせていたのですが、そこでも歯磨きの重要性はよく伺っていました。まだ生後4月頃ぐらいでしたが簡単なレクチャーも受けていました。その際は、まだ歯ブラシで歯磨きすることが難しい場合は、まずはペーストを指につけそれをそのまま指で塗ってあげるだけでもいいとアドバイスされしばらくはそうしていました。
また、ブリーダーさんのInstagramでおすすめの歯ブラシを紹介していたので、それを買ったりして、歯ブラシで歯を磨くことにも少しずつ挑戦。でも、フランがあまり口をちゃんと開けてくれなかったり歯ブラシを嫌がってしまっていたので難しいと感じていました。そういった流れもあり、これまでは「歯ブラシで歯磨き」というより、歯磨きシートで歯を拭くということの方が多かったんです。
愛犬と歯磨きのレッスンを受けてみて
トレーナーの先生から実際に歯磨きのレッスンを受けてみてどうだったか、感想をお伺いしました。
Q.歯磨きのレッスンで難しいと感じた点はありますか?
奥脇さん:難しいというか間違っていたなと感じたのは、「歯磨きの技術」というよりは「トレーニングの進め方」ですね。今までのトレーニングでは、「ちゃちゃっと済ませたい」とか「どうしても今やってしまいたい」、「少しぐらい嫌がっても最後までやってしまいたい」という飼い主が主体の気持ちになってトレーニングを進めてしまっていたことです。そのことに気が付いたときはハッとさせられました。先生の話を伺って「なんで今まで慣れない歯磨きをされるフランくんの気持ちをメインに考えてあげられていなかったんだろう」と後悔しました。「ゆっくり時間をかけて少しずつやってあげなくちゃ」ということは理解していたつもりでしたが、今回時間をかけてトレーニングをすることで、フランの集中力が高まってる様子や歯磨きを受け入れていく姿をじっくり観察できて、その重要さに気付くことができました。人間の感覚やタイミングでやってしまいがちですが、もっと犬主体のタイミングで愛犬の気持ちに寄り添うようにしなければとは痛感しましたね…。
Q.先生と一対一での実践レッスンを受けてみての感想は?
奥脇さん:マンツーマンでとても丁寧に細かく教えていただいて、すごく参考になりました。本や動画で学んだのではなく、実際に生で先生から教えてもらったことが本当に良かったです。実際に会うことでフランに触れ合ってもらい、性格も理解してもらったうえで指導してもらえたので吸収も早かったように感じました。やっぱりトレーナーさんに直接教えてもらえると全然違うんですね。なかなかそんな機会がないので、こんな貴重な機会をいただけて本当に感謝しています!
Q.その他、レッスンの感想などがあれば教えてください
奥脇さん:実は、フランはもともと興奮しやすい性格だったので、初めての人がたくさんいる慣れない場所に行くのが不安でした。また、一緒にレッスンを受けるのが大型犬の子とのことで、大型犬にあまり慣れていないフランが仲良くできるかな?ということも心配で事前に相談していました。でも、レッスン初日グレートピレニーズのさくらちゃんと対面したときも、少し時間をかけて「外で距離をとってちょっとずつ距離を縮めていく」という方法を取ってくださりフランも怖がることなくスムーズにさくらちゃんにも場の雰囲気にも馴染むことができていました。相当楽しかったようで最終的にレッスンが終わるころには、自分よりも何倍も大きな体のさくらちゃんのことが大好きになって弟のようにずっと後ろから着いて回っていました(笑)
Q.レクチャー中、フランくんは終始楽しそうでしたね。レッスンもすごく集中していい子で受けられていたと思いますが、飼い主としてはいかがでしたか?
奥脇さん:そうなんです。あまり得意ではない歯磨きのはずなのに、めちゃくちゃ張り切ってハッスルしていて(笑)想像以上に楽しそうに取り組む姿に、愛犬の意外な一面を知った感じです。
基本褒められることが好きみたいで、終始うれしそうな顔をしていたので飼い主としてもうれしかったですね。休憩時間は楽しくてさくらちゃんやスタッフの方々と一緒にはしゃいでいる反面、先生のレッスンが始まるとすっと集中力が高まるのが感じ取れて、切り替えがきっちりできていたような気がします。先生の指示の習得も早かったので、たぶん、もともとトレーニングを覚える素質があるんじゃないかな?新しい才能の開花ではないですが、これからは私もいろいろなトレーニングにも一緒に挑戦していきたいですね。
Q.歯磨きレッスン以外で気付いたことはありますか?
奥脇さん:レッスン中、ピンポンが鳴ったりして興奮してしまうなどのタイミングがあったのですが、その際に先生がフランの様子をちゃんと見てくれていて、落ち着いた瞬間にパッとおやつをあげたりして正常心に戻してくれることがあり驚きました。家では一度興奮してしまうとなかなか落ち着かないので。先生がちゃんとフランの気持ちを見てくれていたり、フランの性格や行動パターンをしっかり把握してくれたのがすごくよかったです。まさにプロの技ですね。
そしてそのことで、私自身がこれまでフランにご褒美をあげるタイミングが間違っていたことに気づくこともできました。落ち着かせるタイミングをしっかり見極めることで、フランがすぐに平常心を取り戻すところを目の当たりにしてそのタイミングについて大変勉強になりましたね。このように歯磨き以外のことも学ばせてもらえて、逆にそれが歯磨きトレーニングにもつながったりして相乗効果も見込めそうです。今回は、歯磨きだけでなくプロのトレーナーさんからちゃんと見てもらい、対面で教えてもらうことのすごさを実感できました。
愛犬と挑んだ歯磨きレクチャー、その後について
愛犬のフランソワくんと参加してもらったINUMAGでの”犬の歯磨きレクチャー実践編”。レクチャーは無事に終了しましたが、その後ご自宅での歯磨きは習慣となっているのか、なにか変わったことなどがあるのかをお伺いしてみました。
Q.レクチャー後、歯磨きは続けていらっしゃいますか?
奥脇さん:たまにできない日があったりもしますが、できるだけ毎日と思って続けています。まだフランの機嫌や調子によって歯ブラシを嫌がったりする日もありますが、その際はシートで済ませてみたり臨機応変に対応しています。先生から「飼い主がやらなければいけないとプレッシャーに感じてしまうと、それが犬にも伝わりよくないから無理はしないで」とアドバイスされたことが救いになってますね。一日一回寝る前にやってみたり、私とフランのペースで、楽しく歯磨きを続けています。
Q.歯磨きについて、技術的なことでなにか変わったことはありますか?
奥脇さん:今回の実践レクチャーで愛犬のマズルの長さと口の奥行きを知る方法や、歯ブラシにマジックで線を描くことを教えてもらったことで、すごく助かっています。フランはあまり口を開けてくれないのでどこまでが奥歯かわからずブラシを入れすぎて、フランがえづいてしまったことがあって。マジックのラインで「ここまでは無理なく入る」というサインを知ることができて、意識して磨くことができるようになりました。歯磨きの技術や知識も少し上がったような気がします。ただ、少しやれるようになってきたら「今度はもっと!」って欲が出ちゃうんですけどね。嫌がってない時は、やれるときにやっちゃおうと思って少し無理してやってしまうことも…。そして調子にのってたら、めちゃくちゃ嫌がられたり(汗)そういう時は、先生の教えを思い出して初心に返って「焦らずゆっくりと」を心がけて取り組むようにしています。一進一退ではありますが、焦らず取り組む姿勢は忘れないようにしたいですね。
Q.今後歯磨きのことで学びたいことや挑戦してみたいことはありますか?
奥脇さん:おかげさまで、前歯や犬歯まではできるようになったのですが、まだ奥歯の方があまりうまくできないので、もっと奥歯のほうまで磨けるようになりたいですね。あと、奥歯の方をやろうとすると口を閉じてしまうことがあるので、口を開けたまま歯の状態を見ながら磨けるようになりたいです。
Q.まだ歯磨きトレーニングを始めていないワンちゃん&飼い主に向けてのメッセージはありますか?
奥脇さん:歯磨きに苦手意識があった私でも、正しいトレーニングの進め方やコツをつかむことで続けられています!ぜひみなさんにも諦めずに歯磨きを習慣化してほしいですね。フランはまだ若いのもありますが、歯が真っ白なので「歯がきれいだね」と褒められるとうれしいものです。この白い歯をこのままキープしてあげたいと思っています。シニアになってくると歯のトラブルも出てくることもあると思いますが、歯周病など歯の病気で苦しんだり、全身麻酔して歯石を取らなければいけないというのもかわいそうなので、できるだけそういったことにならないためにも、日頃からの歯磨きをおすすめします!愛犬のリスクを少しでも減らすためにも一緒にがんばりましょう。
さいごに
愛犬にとって大切なケアのひとつでありながら、なかなか実践できている人が少ない「犬の歯磨き」。今回インタビューに答えてくださった奥脇さんも、その一人でした。飼い主の行動次第で愛犬の今後の犬生のQOLにも影響が出てくるデンタルケア。「歯ブラシによる犬の歯磨き」は難しいと考えがちですが、正しい知識を身につけてトレーニングできれば、歯ブラシ1本とコップと水だけで始められるお手軽なケアなのです。
これからもINUMAGでは、歯のトラブルで悩む飼い主や犬たちが少しでも減るよう、犬の歯磨きを広めるため活動してまいります。また読者体験型の実践レッスンやグループレッスンなど、読者のみなさまにもいろんな形で参加いただけるような企画も計画していきたいと思いますので、今後をお楽しみに!
- Writer:おおくぼ あい