シニア期のフードについてペットフーディストが解説!与え方と必要な栄養素とは
- フード/おやつ
愛犬の健康のために栄養バランスのとれた食事や適正体重の管理は大切です。そして、シニア期に入ると重要性はさらに増します。犬のライフステージによってエネルギー要求量や必要な栄養素の割合は異なっていきますが、シニア期の場合は老化によって行動制限が出たり、疾病による健康管理の必要性も出てきたりします。
この記事では、愛犬がシニア期に補給するべき栄養や食事に関する注意点についてお伝えしていきます。
シニア期はいつから
犬にとってのシニア期とはいつからになるでしょうか。犬は人よりも早く歳を取ると言われますが、犬の年齢は体の大きさによって変わります。小型犬・中型犬だと9歳頃から、大型犬は7歳頃から老化が始まると言われています。
シニア期に必要な栄養素
愛犬が高齢になって生じる身体の生理的な変化に気付き、早期に対応することは生活の質向上への一助となります。シニア期は運動量が減るので、低カロリーで栄養価の高い食事が理想的です。
シニア期に必要な栄養素は以下のとおりです。
タンパク質 | 筋肉、腱、骨、爪、皮膚、被毛、各臓器などを作る働きを担っています。 |
ブドウ糖 | 脳やその他の細胞のエネルギー源となります。 |
脂肪 | タンパク質の2倍のパワーとしてエネルギーになります。 |
ビタミン | 犬の体に必要なビタミンは14種類あります。抗酸化作用やエネルギー代謝、神経伝達、ホルモン様作用の働きがあります。 |
ミネラル | 身体機能維持や調節に欠かせない栄養素です。代謝機能や細胞を正常に働かせます。 |
グルコサミン | 犬の関節部分にある軟骨の基礎成分です。 |
コンドロイチン | グルコサミンと一緒に取ることで相乗効果があるとされています。 |
シニア期に必要な栄養が多く含まれる食材
それぞれの栄養素を多く含む食材です。
動物性タンパク質 | 肉・魚・卵・乳製品 |
植物性タンパク質 | 野菜・大豆などの豆類・穀類 |
ブドウ糖 | 穀類・バナナ・あんず |
脂肪 | 魚介・肉 |
ビタミンB1 | 豚肉・鶏レバー・グリーンピース・カブ・トマト |
ビタミンB2 | 牛豚レバー・緑黄色野菜・サケ・のり・卵 |
ビタミンB3 | タラ・鶏胸・きのこ類・カツオ節・玄米 |
ビタミンB5 | レバー・鶏肉・カリフラワー・きのこ類 |
ビタミンB6 | 青魚・鶏レバー・バナナ・モロヘイヤ |
ビタミンB12 | あさり・カツオ・煮干し |
ビタミンC | ピーマン・キャベツ・ブロッコリー |
グルコサミン | カニやエビの殻から生成されたサプリメントや配合されたフード |
コンドロイチン | コンドロイチン硫酸はサメのヒレなどの軟骨組織から生成されたサプリメントや配合されたフード |
どれも必要な栄養素を含む食材ですが、取り過ぎには注意してください。
抗酸化栄養素も積極的に
シニア期には抗酸化作用がある食材を積極的に増やしてあげましょう。
かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリー、にんじん、小松菜、りんごなどをトッピングやおやつにあげることをおすすめします。
リン、ナトリウムが高い食事は注意して
シニア期には心臓病や腎臓病が増加します。リンやナトリウムが高い食事を取ると、心臓や腎臓の機能に負荷をかけてしまいます。高タンパク、高嗜好性のペットフードはリンやナトリウムが高いので、シニア期の愛犬に与える場合は量に留意しましょう。
シニア期用のフードはリンやナトリウムが維持期よりも少なく配合されています。とはいえ、リンはカルシウムやマグネシウムと骨や歯を構成する成分でありエネルギーとしても必要です。身体に必要な栄養素であるので、制限し過ぎるのは危険です。
リンを多く含む肉、魚、卵黄や乳製品を与える場合は量を調整するか頻度を減らすなど、また、カルシウムとのバランスに気を付けたりして、リン酸塩や塩分が添加されたおやつやフードにトッピングするのを控えることをおすすめします。
定期健康診断を
シニア期には年に2回は、定期健康診断をして早期発見、早期治療ができると、飼い主の精神的、経済的負担も軽減できます。食事管理も愛犬の今の体調を確認してからバランスをとるといいでしょう。かかりつけの獣医師に定期的に診てもらうことをおすすめします。
食事の変更はゆっくりと
シニア期には、消化器も環境変化への対応が遅くなっていきます。短期間でフードを変更したり、頻繁に食事を変えることは控えましょう。下痢や嘔吐も生じやすくなるため、フードを変える際には2週間かけてゆっくりと移行するようにしてください。
さいごに
シニア期のフードと栄養素についてお伝えしました。
シニア期にもなると、長年一緒に食べてきたおやつや嗜好品などもあるかもしれません。誕生日を迎えた際に、あらためて愛犬の食生活を見直せていけたらいいですね。
消化しやすいフードで調節したり、吐き戻しがある場合には食事の回数を減らしたりして負担をかけないようにしてあげましょう。他に、気になることがあるときは、迷わずかかりつけの獣医師に相談してみてください。
INUMAGでは、これからも愛犬の健康的な食生活をサポートしていきます。
今崎 湘子 | ペットフーディスト
2021年2月ペットフーディストの資格を取得。幼少期より大の犬好きで、現在はペットフーディストとして犬の栄養管理のアドバイスやペットライターとして活躍中。「犬も人も共に楽しくずっと一緒に」をモットーに、元保護犬トイプードルを家族として迎え入れ、2人の娘と犬のやりとりに癒やされる毎日です。