パピーと始める犬との暮らし。夫婦のライフスタイルを大きく変えたマルプーのキト

パピーと始める犬との暮らし。夫婦のライフスタイルを大きく変えたマルプーのキト

  • インタビュー

初めて犬を家族として迎え入れたときの気持ちは、愛犬が成犬になっても忘れられないほど喜びや楽しみが大きいものです。また、それと同時にさまざまな不安も出てきます。「犬と暮らす」シリーズ、今回はミックス犬マルプーのパピーを迎え入れた蜷木さんご夫婦を取材しました。どのような経緯でパピー犬を迎え入れることになったのか、迎え入れるためにどんなものが必要だったのか、生活や犬に対する思いがどう変わったのかについてお伺いしました。ご夫婦はお二人とも犬が好きで、いつか犬と一緒に暮らしたいと考えていたそうです。そんな中、マイホームを購入したタイミングで愛犬キトちゃんと出会いました。

うれしい突然の出会いと迎え入れるまで

出会いは、休日に友人夫妻とドライブをしていたときに偶然通りがかったペットショップでした。

「そこで目が合ったのがキトです」

目が合った瞬間「うちの子に」と感じたそう。ご夫婦は大の犬好き。「いつかは犬を迎え入れたい」と思ってはいたが、まさかこんなにも早く出会いが来るとは思わなかったと言います。

それから迎え入れるまでの一週間、必要なグッズなどを調べて揃えました。犬好きとは言え、犬と一緒に暮らすために必要な知識は全くなく、何を準備すべきなのか分からなかったと言います。トイレシート・ケージ・毛布・おもちゃなどの必要最低限のものを用意し、トレーニングについてもネットで情報を集めました。

お迎えに行く日の交通手段

「一番最初に悩んだのが、お迎えに行く当日の交通手段です」。出会ったペットショップは、自宅から車移動で1時間ほどの距離。蜷木さん夫婦は車を持っていないので、どうやって移動すればいいのか分からず、インターネットで調べてみても電車やタクシー、ペット専用タクシーと選択肢の多さにどれが正解が分からなくなってしまいました。そもそも電車で移動するとなると、生後2カ月のパピーをクレートに入れるとストレスがかかるんじゃないか、他の人に迷惑がかかるんじゃないかと悩んでしまったそう。

結局当日は乗り慣れているタクシーでお迎えに行くことに。ただ、タクシーに犬を乗せてもいいのか調べてみても、はっきりとした答えが見つからず不安に。「運転手さんにアレルギーがある場合は断られる可能性もあり、キャリーバックやクレートに入れてないとだめなど様々な情報があって、どれが正解なのか分からず混乱しました」。

当日はクレートを用意し、タクシーの運転手さんに「犬を乗せたいのですがいいでしょうか?」と聞いてみました。すると快く受け入れてくださって、安心したそう。お迎えの交通手段の悩みがあるとは、取材を通して初めて気づきました。

迎え入れると決めたときから家族

いよいよお迎えに行くという段階になってキトちゃんが体調不良に。お迎えがさらに一週間延びてしまいました。ペットショップのかかりつけのお医者さんに診察をしてもらっていましたが、実際にどのような状態なのか分からず不安になってしまったそう。

「迎え入れると決めた時点で、すでに自分たちの家族になっていたから1日でも早くそばに連れてきて、自分たちでどうにかしてあげたかった」。ペットショップの店員さんやお医者さんが、精一杯対処してくださっているのは分かる。ただ、自分の目で見ているわけではないのでどのような状態になっているのか分からず、ネガティブになってしまいます。取材中の言葉からも、自分たちでなんとかしてあげたいという気持ちがよく分かりました。

奥さまはキトちゃんが調子が悪いと連絡があってから、2、3日に一度は様子を見に行っていました。仕事もある中、片道一時間かけてペットショップに通うのはなかなか大変。それだけ「もう自分の家の子だ」という気持ちが大きかったのでしょう。

待ちに待った三人での生活がスタート

体調は無事回復し、やっと家に迎え入れることに。待ちに待った三人での生活が始まりました。「迎え入れる前に準備したのは、トイレシート・ケージ・毛布・おもちゃなどの必要最低限のもの。実際に一緒に生活していくと、これも必要だなというものがちょこちょこ出てきました」。

おしっこをした後に拭くティッシュが必要だという発想がなかったけど、実際に一緒に生活していく中で必要だと分かりました。うんちの匂いを消してくれるゴミ箱も、初めは必要ないと思っていたが便利だろうと感じ追加購入したんだとか。一緒に暮らしているうちに、どんどん必要な物、便利な物が分かっていったと言います。

またペット保険も入っておいて本当に良かったと話してくれました。家に来てすぐに病院にかかることが重なったので、最初の時点からペット保険に入っていたことがとても助かったと。

「ペットショップの方に勧められて加入しました。店員さんに勧められたときは、いるのかな?と思っていたのですが生後一年くらいは通院も多いので、入っておくと安心ですよ、とアドバイスしてくださったんです。実際に気管支が弱く、一緒に生活する中で病院へ行くことも多くなったので入っていて良かったです」。単純にペットショップのお客さんと店員という関係ではなく、犬を飼っている先輩といった感じで接してくれるのはうれしいですね。

相談できる人がいたから乗り越えられた

何もかもが初めてのことで、どれがスタンダードなのかが分からなかった蜷木さん。迎え入れて1〜2カ月経った頃、キトちゃんはフードの食いつきが悪くなってしまいました。さらにこの頃、涙やけがひどくなってきたのもあり、何かいいフードはないか犬を飼っている友人に相談してみました。「オーガニックのフードを教えてもらったのですが、ものすごく喜んで食べたんです。うれしくて!悩んでいた涙やけも改善したのでホッとしました」。

でもそれも束の間、しばらくするとまた食いつきが悪くなり、別のフードをあげると喜ぶのは最初だけでそのうちだんだんと食べなくなってしまう。調子が悪いのでは?と心配し病院に相談へ。すると先生から意外な言葉が。「パピーは何でもかんでも食べることが多いけれど、キトは一つひとつを噛み締めて味わって食べていると。グルメらしいです。ちょっと困りますね(笑)」。苦笑いしながらそう話してくれました。

それからはトッピングを混ぜたり、フードを朝晩で変えたりして味を変えて工夫しています。それでもたまに、食べないときもあるようでそんなときに犬を飼っている友人に相談すると「うちもそういうことあるよ」と聞いてホッとしたと言います。「それからは、犬だって生き物だから飽きたりするよな、と考えられるようになりました。実際に犬を飼っている人からのアドバイスがあると、安心ですよね」。

犬を初めて飼うと、全てが初めてのことだらけ。迎え入れる前はグッズやトレーニングについてたくさん調べて、準備にあたふた。一緒に暮らし始めると、トイレトレーニングや噛み癖、食べムラや、夜鳴きなどに向き合う時間が必要になり、悩みや不安もたくさん出てきます。病院へ行ったり、通っているトリミングサロンで聞いてみたりと、犬のプロへ一度相談してみるといいですね。信頼できるドックトレーナーさんを見つけておくのもいいかもしれません。

蜷木さんは犬をすでに飼っている友人からの話を聞くことで「そんなこともあるんだな」と気持ちが軽くなったと言います。「これってうちの子だけなのかな?」という不安に「そんなことないよ」と言ってもらえると、安心します。

犬だって生き物。犬のしつけ本やネットの情報などに書いてある通りにすんなり進むことばかりではないでしょう。ひとりで悩むのではなく、犬を飼っている先輩や、犬のプロに相談することが大切だと感じました。

お利口だけどずる賢い!?

キトちゃんはお利口さんで、トレーニングの苦労などはなかったそう。トイレも早い段階で覚え、夜鳴きなどもなし。ただ他の子より少し体が弱く、病院へ通うことが増えていきました。

混合ワクチンを打ちに行ったときにはアレルギー反応が出てしまい、1日入院することに。お腹の調子を崩して迎え入れが遅れ、やっと一緒に暮らせると思った矢先の出来事でした。「小さな小さな体を丸めながらキュンキュンと鳴くキトを見たときは、代わってあげたいと心から思いました。やっと一緒に暮らせるようになったのにまた離れ離れ。奥さんと二人、ケージを見つめたり、匂いがついた毛布をクンクンと嗅ぎながらぎゅっと抱きしめたりしていました」。

幸いアレルギー反応は1日で収まり、次の日無事に退院。しかしその後も咳をすることがあり、通院することに。ご夫婦は家で仕事をしているので、何か異変があってもすぐに気づいてあげられる環境。常に様子を見ていられるのは良かったと言います。

ただ、薬を飲ませるとなるとちょっとした苦労が。

「キトはミルクが好きなので、粉末の薬をミルクに混ぜて飲ませていたんです。最初の3日間はちゃんと飲んでくれたんですが、途中で薬だと気づいたみたいで(笑)薬の部分だけ避けて飲むようになったんです。こんな小さいのに、なんてずる賢いんだって思いました!」と笑いながら話す蜷木さん。

たしかに、ミルクに混ぜた粉薬の部分が分かるなんてすごい。ミルクはしっかり飲むのに、薬は避ける…犬の賢さに驚きです。錠剤だと薬と分からないみたいで今は錠剤の薬をフードに混ぜてあげているそうです。

犬と一緒だからこそ味わえる幸せ

犬好きの蜷木さんですが、一緒に生活する中で犬に対しての気持ちが変わったと教えてくれました。

「迎え入れる前までは、正直犬のことをあくまでもペットとして見ていました。意思疎通なんてできるわけがないと思っていましたし、人間とペットは別物だと考えていました。でも一緒に暮らしていく中で、体が弱い部分やご飯を食べている姿を見ていたら、守ってあげたい家族の一員だと思うようになりました。ありきたりかもしれませんが、我が子のような」と優しくもたくましく話してくれました。

また、ペットとの生活は色々と制限がかかると思っていたが、それも変わったと言います。犬を飼うと出かけられない、旅行にいけないなどのネガティブなイメージを、犬を飼っている友人に話したら、こんな返事が。

「『犬がいると、できないことも行けないところも増えて制限されるようになる。だけど逆に、犬がいないとできないことや行かないところだってある。だから、犬がいることでできないことが増えるんじゃなくて、犬がいることでできるようになることが増えるんだよ』と言われました。それは一緒に暮らす中で本当にそうだなと感じています」

犬を飼っている人からの実体験としてのメッセージ。確かに犬を連れての行動は制限されることも多いですが、犬を連れているからこそ体験できること、楽しみや幸せも多くあります。犬と一緒にいるからこそ今まで味わえなかったことも増えていくのです。

笑顔が増えた夫婦時間

キトちゃんを迎え入れたことで笑顔が増え、生活スタイルも大きく変わったと言います。夫婦共に忙しく、朝から晩まで仕事の毎日。ところがキトちゃんが来てからは、家で過ごすのがとにかく楽しいと言います。仕事や用事で外出していても早く切り上げるようになりました。

また、今まではお互い仕事の話ばかりしていたそうですが、今は犬の話で盛り上がり、夫婦の会話の内容が増えたとも言います。「笑うことが増えましたし、今までよりもさらに夫婦の時間が楽しくなっています。キトが部屋の中をちょこちょこ歩いているだけなのですが、奥さんとふたりでニコニコ眺めて癒されています」。

蜷木さん自身も「守るべきものが増えたことで、何でも広い目で見られるようになりました」と。奥さまはそんな蜷木さんを「大黒柱感が出てきた。背中が大きく見える」と言います。

奥さまはどこが変わったか?と尋ねると「おおらかになったな」と感じているそう。仕事をバリバリこなす、かっこいい奥さまが、ニコニコと笑顔が増えてやわらかになったと。「お互い仕事が忙しい日々なのですが、ふっとキトを見るとそれだけで優しい気持ちになる。僕たち夫婦にとって、かけがえのない存在です」。犬を迎え入れたことで、家族の時間がより楽しくなった二人。守るべき存在ができたことでたくましくなり、笑顔も増えていきました。

楽しい世界をつくってあげたい

笑顔が増えて毎日が楽しいとお話しをしてくれた蜷木さんに、これからの生活についてお伺いしました。「まだ一緒に遠出をしたことがないので、旅行やドライブなどにも行ってみたいなと思っています」。お互いの実家へ連れて行ったり、季節のレジャーを楽しみたいと言います。

「あと他のワンコとも遊ばせてあげたいな、と。ドッグランなどもデビューさせてあげたいです」。たくさんの犬との触れ合いも、素晴らしい経験です。

「1歳になったらどんどん外の世界へ連れ出してあげたい。外の世界って楽しいんだよ、こんなにうれしくなる場所なんだよって教えてあげたいですね。一緒にたくさんの楽しいことをやっていきたい」。パピーにとって外の世界はまだまだ未知の世界。成犬になるにつれ、これから外へどんどん遊びに行けるようになります。犬にとっても人間にとっても世界が広がっていきます。

さいごに

蜷木さんご夫婦と家族になったキトちゃん。通院が大変だったり、フードの食べむらで心配したりと、犬との生活は悩みもつきません。しかしその悩みにアドバイスしてくれる人や、共感してくれる人が周りにいるだけで、飼い主は安心するものです。犬との楽しい生活を送るために、相談できるトリマーさんやドックトレーナーさんを探しておくのも安心できるかもしれません。INUMAGでは、これからもさまざまな犬と人の暮らしをご紹介していきます。その人の犬への想い、犬との生活スタイルをお届けし、犬との生活をより幸せにできるヒントになればと思っています。ぜひお楽しみに!

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  • Writer:さとう れいこ
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