高温アスファルトに気をつけて!犬のお散歩、夏の注意点と暑さ対策
- 学び
愛犬とのお散歩は日々の大切な日課。犬のストレス発散になるだけでなく、飼い主が犬とコミュニケーションを深められるかけがえのない時間です。しかし、暑さが厳しい夏のお散歩はいくつか注意も必要。というのも、犬というのは、私たちが思っている以上に暑さに弱い生き物なのです。大事な愛犬の身を守るためにも、ここで夏のお散歩の注意点を知り、しっかり暑さ対策を取ってあげましょう。
夏のお散歩、犬にとって何がそんなに危険なの?
1.まるで熱い鉄板、夏のアスファルトの温度を知ろう
きれいに舗装された日本の道、「犬のお散歩コースのほとんどはアスファルト」という人も多いのではないでしょうか。しかしこのアスファルト、夏には注意が必要です。熱を吸収しやすく放出しづらい特徴を持つアスファルトは、夏の日中には最高で50~60℃以上まで温度が上がってしまいます。これは熱い鉄板のようなもの。地面を歩く小さな犬たちにとって、いかに危険なものかが分かります。
2.夏の犬の体感温度、いったいどのくらい?
地面そのものが高温になるだけでなく、アスファルトは、強い照り返しにより周囲の気温も上昇させてしまいます。それは私たち人間でも実感があるのではないでしょうか。犬の場合、私たちよりはるかに身長が低く、地面との距離はわずか数十センチ。地面と平行になって歩く犬のおなかは全面でアスファルトの熱を受け、背中は容赦なく日差しを浴びることになります。
こうした要因から、個体差はあるものの、アスファルトを歩く犬の体感温度は40℃にもなるといわれています。犬の平均体温は38℃程度、体温が40℃以上に達すると「熱中症」となることから、この体感温度はばかにできません。
3.犬が素足で歩くアスファルト、手で直接触れてみよう
さらに私たちが注意しなければいけないのは、犬たちが高温のアスファルトを素足で歩いているということ。靴を履いているとなかなか気が付きづらいものですが、アスファルトに直接手を当ててみると、どのくらい熱いのか実感できるでしょう。
熱い地面に直接触れながら歩く犬たちの肉球は、やけどや炎症で傷を負ってしまうことがあります。人間にとっては暑さが和らいだと感じる時間帯も、お散歩前には必ず地面に手を当て、温度を確認することが大切です。
4.犬は体温調整が苦手、熱中症対策を忘れないで
どんなに暑くても、犬は人間のように汗をかくことができません。汗腺もあるものの、その機能は人間ほどではなく、体温調整が苦手です。そのかわり、犬は口を開けて「ハァハァ」と呼吸をすることで体温を調整しています。これは「パンティング(panting)」と呼ばれ、大きく口を開け呼吸をすることで、水分を蒸発させ体温を下げる役割を果たしています。
しかし、気温が高い夏は、このパンティングがうまく機能しないことがあります。気温があまりに高くなると、パンティングしても水分を蒸発させることができず、逆に熱い外気を身体に取り込んでしまいます。こうなると、体温は下がるどころか上昇してしまうのです。
犬の熱中症症状は人間と同じで、このように体温調整がうまくできなくなることから始まり、体温が上がり脱水症につながっていきます。脱水状態に陥ると、体内の水分やナトリウムのバランスが崩れ、体内器官に障害が生じます。こうなると命に関わる危険性も出てきてしまいます。
人間と同じく、犬の熱中症の一番の原因は、高温多湿な場所で長い時間過ごすこと。夏は屋内でも熱中症になる可能性が十分にあります。暑い時間のお散歩はなおさら危険です。
まずは暑い時間帯のお散歩を必ず避けること、エアコンなどで室内温度を調整をすることが熱中症対策の基本です。お散歩中は十分な水分を用意し、水分補給は少しずつ、数回に分けて行いましょう。また、身体をクールダウンするためのグッズも活用し、少し苦しそうな様子を見せたら、すぐに、首や皮膚が薄い脚の付け根などを冷やしてあげられるようにしておきましょう。
夏場のお散歩、こんなところに注意して
1.夏の1日、時間帯ごとの気温を把握しよう
お散歩のベストタイミングを知るためにも、まずは夏の1日の気温の移り変わりを把握しましょう。夏は日の出が早く、朝4~5時には明るくなってきます。この早朝4~6時ごろは、気温が25℃前後と比較的過ごしやすい時間帯です。しかしそのあと、7~8時にはすでに気温が上昇し始め25~30℃程度に、9~10時にはすでに30℃を超え、12~16時ごろまで35℃以上とピークを迎えます。その後、暑い日は22時ごろまで30℃を下回ることがない場合も。
ちなみに、アスファルトの温度は朝7~8時の時点で35℃程度、9時には40℃を超え、お昼~16時ごろには50~60℃に。気温やアスファルトの温度から見ても分かるように、夏の昼間のお散歩は絶対に避けましょう。
2.夏のお散歩、安全に出かけられる時間帯を知ろう
早朝
夜の間に地面が冷えた早朝は、夏のお散歩にはベストの時間帯です。まだ人も少ない時間、少し早起きをしてお散歩に出かけましょう。
夕方
日中に長時間、直射日光を受けたアスファルトはまだまだ熱く、日が落ちたからといって油断は禁物です。「涼しくなってきた」と感じても、必ずアスファルトを触って温度を確認しましょう
夜
夜は地面の熱もようやく下がり、お散歩に行きやすい時間帯です。しかし、犬にとってはまだ気温が高く感じる可能性もあるため、熱中症対策は必ず万全に。また、暗くなった夜は、車や自転車事故、蚊やノミ・ダニなどの害虫などから身を守るための対策も忘れないようにしましょう。
3.1日のお散歩量は?2回に分けるのもおすすめ
早朝や夜にまとまって長い時間が取れる場合はいいですが、無理はせず、朝と夜で短時間ずつ2回に分けて行くのもおすすめです。暑い夏は、「いつもこれくらい歩いているから」と、距離や時間にとらわれ無理に歩こうとするのは避けましょう。犬の様子を見て、暑さで苦しそうにしていないかどうかを確認しながら歩くことが最も大切です。激しくパンティングをしているようなら、途中で日陰に入ったり水分を摂るなどして休憩をとりましょう。
4.夏でも安全にお散歩できる場所は?お散歩コースを見直そう
アスファルトはなるべく避け、日陰や芝生、草や土道などを中心にお散歩コースを選びましょう。こうした道は、アスファルト舗装がされている道に比べると10℃も温度が低いと言われています。とはいえ、暑さの危険性がなくなるわけではありません。犬の様子を見ながら、暑さ対策は忘れずにお散歩しましょう。
夏のお散歩を快適に、おすすめドッググッズ
1.暗い夜道のお散歩、ライトをつけて安心安全
気温も下がり快適にお散歩できる夜ですが、事故には注意したいもの。暗闇の中を歩く小さな犬は、車や自転車、歩行者などから気づかれづらい存在です。首輪などにライトを付け、犬の存在を周りにきちんとアピールすることで、愛犬の安全を守りましょう。
2.クールネックで首元からひんやり暑さ対策
夏の暑さ対策として、人間も首元や皮膚の薄い部位を冷やしたりしますが、それは犬も同じ。首回りを冷やしてあげることで、一気にクールダウンできます。首をひんやり冷やしてくれるクールネックのおすすめは、こちらの記事からぜひチェックしてみてくださいね。
3.もうひとつの夏の敵、害虫対策もしっかりと
夏に気を付けなければいけないのは暑さだけではありません。特に、夜間のお散歩や植物がある場所、水際などで注意しなければいけないのが害虫です。ノミやダニ、蚊などから犬の身を守るため、虫除けスプレーは必ず用意しましょう。
さいごに
熱中症にやけど、さらには害虫と、夏のお散歩にはたくさんの危険が潜んでいます。しかし大切なのは、こうした危険を恐れすぎず、あらかじめきちんと対策を取ることです。犬の身体に負担をかけず元気にお散歩を楽しむためにも、暑さ対策を万全にし、正しくお散歩時間やルートを設定してあげましょう。言葉で意思表示ができないからこそ、飼い主自身が知識をつけて、大切な愛犬の身体を守ってあげたいですね。
- Writer:Mariko Dedap