フランス生まれの犬種って?貴族が愛したフランス犬【ボンジュール!フランス犬だより】
- コラム
INUMAG読者のみなさん、こんにちは!フランス在住INUMAGライターのMarikoです。フランス犬事情についてお伝えするコラム、「ボンジュール!フランス犬だより」。第6回目の今回は、フランスを原産国とする犬種についてご紹介します。
犬の原産国として有名な国といえば、世界で最も多くの犬種を生み出してきたイギリスですが、フランス生まれの犬種というとみなさんはどんなワンちゃんを思い浮かべるでしょうか。中には、日本で大人気のあの犬種も。それでは詳しく見ていきましょう!
日本で愛されてやまないトイプードル、生まれはフランス
過去十数年間、日本で特に人気を誇ってきた犬種といえばトイプードル。愛らしい見た目だけでなく、飼いやすさやしつけのしやすさから日本人を魅了してやまないトイプードルは、フランスを原産国とする犬種の中でも代表的な存在です。
「トイプードルだけ?その他のサイズのプードルは?」と思われる方もいるかもしれませんが、そうなんです。ここでトイプードルと限定するのには理由があるのです。
マリー・アントワネットも愛したプードル
プードルはフランスの「国犬」とされていることから、「プードルの原産国はフランス」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際は、小型化される以前の中型から大型サイズのプードルの原産国はフランスのお隣のドイツだと言われています。※1
ドイツで生まれたプードルがフランスへやってきたのは16世紀ごろ。王政時代のフランスで、プードルはそのエレガントな見た目から、またたく間に貴族たちの人気を集めました。そして貴族間での人気の高まりとともに品種改良が加えられ、プードルはフランスで徐々に小型化。こうしてトイプードルが誕生しました。
小型化されたプードルは「女性でも飼いやすい愛玩犬」としてフランスでさらに愛されるようになり、現在ではフランス国犬としての地位を確立しています。フランス王妃マリー・アントワネットやその夫のルイ16世は愛犬家として知られていますが、中でもプードルは彼らのお気に入り犬種でした。
※1 とはいえプードルのルーツは不明点も多く、どこを原産国とするかは諸説あるようです。
「プードル」の語源
英語や日本語で使われる「プードル(poodle)」の名は、ドイツ語の「プードル(pudel)」に由来しています。語源は「水をバシャバシャさせる」。泳ぎが得意なプードルとあり、水辺の猟犬として活躍していたことからこの名で呼ばれるようになったようです。
ちなみにフランス語でプードルは「カニシュ(caniche)」といいます。語源は「鴨(canard)」と「犬(chien)」から来ているということで、言葉は違えど、やはり「水辺の猟犬」という性質からその名がついているのですね。
フレンチブルドッグにパピヨンもフランス原産
ピンと立った耳が特徴的、無駄吠えが少なく温厚な性格から人気のフレンチブルドッグは、その名の通りフランス由来の犬種です。その歴史は意外にも浅く、19世紀にイギリスからフランスへやってきた小型ブルドッグから派生しました。フレンチブルドッグは近年、特にアメリカでの人気が高まっていることで注目を浴びています。日本でも大人気の犬種ですね。
大きく広がった耳が優雅なパピヨンもまたフランス原産です。「ひらひらとした耳が蝶のようだ」と、仏語で蝶を意味する「パピヨン(papillon)」の名が付きました。プードルと同じく、マリー・アントワネットをはじめとするフランス貴族たちに愛された犬として知られ、この時代の多くの絵画で貴族の隣に優佇むパピヨンの姿が描かれています。
その他のフランス原産犬種たち
この他、短い足と大きな垂れ耳が特徴的なバセットハウンドや、綿毛のようなふわふわな毛で知られるビションフリーゼもフランス生まれです。ビションフリーゼの「フリーゼ(frisé)」とは仏語で「巻き毛」の意。こうして見ていくと、犬種の名前からその犬の特徴を伺うことができることも多くおもしろいものですね。
フランスの地名に由来した犬種たちの名もご紹介します。目を覆ってしまいそうな長毛の牧羊犬ブリアードは、パリに近い北部ブリー地方生まれのワンちゃん。あのナポレオンがかわいがったことでも知られています。
また、スペインとフランスの国境を分けるピレネー山脈で生まれたのはグレートピレニーズ。真っ白で大きな身体を誇るピレニーズは、忠誠心が強く番犬にもぴったりです。その性質から、フランス王室の護衛犬としても働いた歴史もあるほどです。
さいごに
さて、今回はフランス生まれのワンちゃんたちをご紹介しました。「この犬もフランス生まれだったんだ!」と驚く意外な犬種も含まれていましたか?
原産国だけでなく、それぞれの犬種が生まれた経緯や名前の由来、犬たちが人と歩んできた歴史を知ると、本当にさまざまなことが見えてくるものですね。私自身、現在暮らすフランスの地での人と犬の歴史から、王政時代の貴族の影響力や、時代による犬たちの役割について改めて学ぶいいきっかけとなりました。
みなさんも、愛犬の原産国や背景にある歴史など、ぜひお時間がある時に調べてみてくださいね!それではまた次回をお楽しみに。
- Writer:Mariko Dedap