妊娠・授乳期のフードについてペットフーディストが解説!与え方と必要な栄養素とは
- フード/おやつ
愛犬の健康的な生活と食習慣を考え、栄養バランスのとれたドッグフードやごはんを選んでいる方も多いことと思います。が、犬の生活する環境はさまざまです。犬種や体質による体調変化も異なるため、個々に健康管理で気を付ける点も違ってきます。
そこで、ドッグフードに食材をトッピングしたり、たまには手作りのごはんを用意したりすることで、愛犬のライフステージやその日の体調に合った栄養を積極的に取らせてあげることができます。
今回は妊娠・授乳期の愛犬にとって必要な栄養素や注意点、おすすめの食材についてお伝えしていきます。
妊娠期に必要な栄養素
犬の妊娠期間は平均63日間(約9週間)です。最初の3分の2期間(6週くらいまで)はこれまでと同じ分量で問題ありません。妊娠が分かってすぐに栄養過剰にならないように、量を変えるタイミングに注意してください。妊娠期の後半7週目以降から、時期に合わせた栄養を摂取していく必要があります。
この時期に栄養不足になると深刻な健康問題を引き起こしたり、子犬の発育に影響を及ぼすこともあります。妊娠・授乳期間は以下の栄養に気を付けてあげてください。
7週目以降は、維持期の食事から2〜3割増しにするか成長期用のフードを与えるようにしましょう。
必要な栄養素と働きは以下のとおりです。
ビタミン | ビタミンはエネルギー源にはなりませんが、正常な発育や代謝を保つための働きがあります。また、抗酸化作用も期待できます。14種類のビタミンが、犬の体の働きには必要です。 |
ミネラル | 子犬期に必要な栄養素であるミネラルは母犬にとっても大切です。ミネラルは、骨の形成に必要な無機化合物。代謝機能や細胞を正常に働かせる役割も果たしています。ミネラルの中でも特に妊娠期の母犬に必要な成分はカルシウムです。 |
カルシウム | カルシウムは骨格の形成と筋肉の収縮・弛緩や神経伝達に役立ちます。 |
タンパク質 | タンパク質は、犬のあらゆる部分の体を形成するのに必要な栄養素です。血液や筋肉を作り、不足すると免疫系の機能低下の恐れもあります。 |
授乳期に必要な栄養素
授乳期も大切な時期なので栄養不足には気を付けてあげましょう。特に必要な栄養素は、脂肪とカルシウム・リン・タンパク質です。
脂肪 | 脂肪はエネルギーになります。タンパク質の2倍パワーとなり、授乳期に特に必要です。 |
DHA | 脂質の中でもDHAは子犬の健やかな脳の発達に働きます。 |
リン | カルシウムとともに骨や歯を丈夫にします。 |
妊娠・授乳期に必要な栄養が含まれる食材
それぞれの栄養を多く含む食材です。
ビタミンB1 | 鶏レバー・サケ・イワシ・トマト・カブ |
ビタミンB2 | のり・卵・乳製品・牛豚レバー |
ビタミンB3 | カツオ節・マグロ・鶏胸 |
ビタミンB5 | 鶏肉・カリフラワー・納豆 |
ビタミンB6 | ごま・鶏レバー・バナナ |
ビタミンB12 | サンマ・煮干し・しじみ |
カルシウム | じゃこや煮干しなどの小魚・海藻・乳製品・チーズ |
タンパク質 | 脂身の少ない赤身の肉・白身魚・卵・チーズ・ヨーグルト |
リン | 肉・魚・大豆など |
もしも食べてくれないときは
母犬は、妊娠5週目を過ぎると体重増加が著しくなります。増加に合わせて、フードの量も毎週1.5割程度ずつ増やし、直前の9週目には6割程度増量していきましょう。とはいえ、週数が分かりにくいこともあります。その場合には、毎週少しずつ増量という程度で、フードの量が不足すると母犬自身が要求してくるため、ペースを合わせて補給してあげるといいでしょう。
出産直前は、子宮が胃を圧迫して食欲がなくなってしまう母犬もいます。この時期は、完食できなければ、フードを置いたまま、母犬が欲したら食べられるような環境作りを整えてあげてください。
授乳期は子犬用フードを代用
犬の哺乳期間は0〜30日間。母犬の授乳期におけるフードは、子犬用をあげることをおすすめします。この時期に手作りフードを与える場合には、高タンパク質・高エネルギーで消化の良いものを食べられるように工夫してあげましょう。
また、母乳は母犬の体内の水分を消費することになるので、いつでも十分な水分確保ができるよう留意します。母犬の体重は、授乳期に妊娠前適正体重の90パーセント以下に減少しないよう注意してください。
さいごに
母犬の妊娠・授乳期に必要なフードと栄養素についてご紹介しました。
安産の代名詞とも言われる犬は一度に何匹も出産するため、エネルギーを大量に消費します。授乳期には何匹もの子犬に栄養を行き渡らせるために、十分なカロリーが必要です。消化しやすく、効率よくエネルギーを摂取できるものをフードで調節したり、補ってあげたりしてください。
母犬によって、年齢、体質、ストレスや環境などそれぞれに置かれた状況は違います。気になることがあるときは、迷わずかかりつけの獣医師に相談してくださいね。
INUMAGでは、これからも愛犬の健やかな食生活を心から応援しています。
今崎 湘子 | ペットフーディスト
2021年2月ペットフーディストの資格を取得。幼少期より大の犬好きで、現在はペットフーディストとして犬の栄養管理のアドバイスやペットライターとして活躍中。「犬も人も共に楽しくずっと一緒に」をモットーに、元保護犬トイプードルを家族として迎え入れ、2人の娘と犬のやりとりに癒やされる毎日です。